アメリカ人がスイスを訪れて驚きがちな12のこと
今年、スイスを訪れるアメリカ人観光客は90万人を超えると予想されている。そのアメリカ人たちがスイスに来て驚くことは何だろう?
筆者は最近、米ニューイングランド地方に旅したが、そこで実感したのはスイスとアメリカ(それにカナダ)の間には、まだまだ文化的に多くの違いがあるということだ。欧州大陸では度々そうなのだが、スイス人がアメリカ人と同じようにスターバックスをひいきにしたり、動画配信サービスNetflix(ネットフリックス)やオンラインショップAmazonを利用したり、歩きスマホをしたりしていても、日常のいろいろなことが明らかにアメリカとは違う。
でもあなたも、実はそれが楽しみで旅行に出かけるんじゃないだろうか?いやいや、アルプスの風景だと自分を納得させたつもりでも、心の底では旅から帰ったらスイスの変わった習慣や出来事を周りに話したいと思っているのではないだろうか。
それではここで、アメリカ人観光客が慣れるのにちょっと時間がかかりそうなスイスのあれこれをご紹介しよう。
コーヒーは「店内で」が基本: カフェではコーヒーがテイクアウト用のカップではなくコーヒーカップで出てくる。スイスではすべてが「テイクアウト用」というわけではないのだ。
空調なし。自分で調節: スイスにエアコン(冷房)はほぼ存在しないと考えたほうがいい。ホテルのドアから一歩外に出て肌寒ければジャケットを羽織ろう。暖かかったらホテルに置いていけばいい。冷房の効き過ぎたレストランや店に入るときのために、バッグにセーターを忍ばせておく必要はない。注文したドリンクには氷さえ入っていないのだから。
褒め言葉の「素晴らしい!」: ホテルの支配人やツアーガイドなど、あなたの旅を楽しくするために雇われている人が、まるであなたが天からの贈り物であるかのように、最高級の誉め言葉を並べてあなたを褒めちぎらなかったとしても、気を悪くしないで欲しい。スイスでは、「あなた」という単語と「素晴らしい!」という単語は同じ文章に出てこないのが普通だから・・・
アメリカ人観光客が増加
スイスへ来るアメリカ人観光客数は過去数年間、毎年約5%増と着実に伸びており、2019年までに年間100万人に達すると見込まれている。
そのためアメリカ人観光客はイギリス人やフランス人よりも、休暇先で同国出身者に出会う確率が高くなるだろう。実際、アメリカ人観光客は、国内で休暇を過ごすスイス人や隣国ドイツ人に続いて3番目に多い。
だがスイスに来るドイツ人観光客数は減ってきている。16年は前年比5.5%減。15年は前年より10.8%落ち込んだ。それでもなおドイツ人観光客はスイスのホテルの総宿泊数の10%を占めている。アメリカ人は5%。
支払いは現金で: コーヒーに限らず他のいろいろなものを買うとき、スイス人は現金で支払う。コーヒー1杯の支払いに100フラン札を出しても、レジで「えっ?」という顔をされることはない。スイスの紙幣は、小さい方から順に黄色(10フラン)、赤色(20フラン)、緑色(50フラン)、青色(100フラン)とカラフルだ。黄色は10、赤は20・・・というふうに、ゲーム感覚で子どもたちに額面を覚えさせるのには良いかもしれない。
スイスの信号: スイスの信号の色は北米と同じ。だが、信号を見かけることは少ない。だからスイスの町は歩いて観光するのがおすすめだ。100メートルごとに横断歩道で信号待ちをする必要などないのだから。
「危ない!」: スイスでは自己責任で道を渡ることになる。横断歩道は目立つように黄色い線で示されていて、歩行者が待っているときは車は必ず止まらなければならないという法律があったとしてもだ。特に山道では信号が無かったり、湖や沼地を示す標識がないこともある。足を踏み外したりうっかり深みにはまったりしないように注意しよう。スイスに来るときは危険も覚悟で来た方がいい。
コーヒーカップ: 基本的にコーヒーのサイズは一つ。だがカップは3種類。アメリカやカナダのサイズで言うと、「エスプレッソ」はスモール、「コーヒー」もほぼスモール、「カプチーノ」も前者と量に変わりはないがコーヒーの上に泡立てたミルクがのっている。
高速道路: スイスの高速道路は片側2車線のところが多い。左側車線は追い越し車線。周りの景色に気をとられて悠長に走っていると、すぐに後方の車から車間を詰められる。バックミラーに目をやると、スイスではこんなに多くのポルシェやBMWなどの高級車が走っているのかと分かる。
テイクアウトコーヒー?: ほとんどのレンタカーには、ドリンクホルダーがついている。では町で簡単にテイクアウトのコーヒーを見つけられるか?実はそうでもない。だが運転をあきらめて電車の旅をする場合は心配ない。駅で紙コップに入ったテイクアウト用のコーヒーが各サイズで売られている。
電車でお酒: コーヒーがお好きでない方は、ビールを買おう。電車の中でも堂々と、瓶や大きな0.5リットル缶のビールが飲める。通りや駅前など公共の場での飲酒も認められている。ポータブルスピーカーで音楽を聴きながら屋外でお酒を飲むのも、スイスの若者のお気に入りの気晴らし。
「水道水をもらえますか ?」: 答えは「イエス」。レストランでスタッフがちょっと嫌な顔をしたり、スパークリングウォーターをすすめたりしても、水道水をもらうことはできる。ただし、こちらから頼まないと出てこないし、有料のところさえある。
スイスのコーヒー文化: スイスのレストランでは、コーヒーは食後に小さな陶器のコーヒーカップで飲むもの。間違ってもミルクたっぷりのコーヒーなんてオーダーしないように。それはあまりにもアメリカっぽいというもの。
ここに挙げたアメリカとスイスの文化の違いは、スイスインフォのフェイスブックのフォロワーも感じているようだ。フォロワーのコメントの一部を紹介しよう。
・高速道路で左側車線を占領しちゃダメ。右側車線を走ろう。でないと他の車を追い越さなきゃいけなくなる
・日曜日のショッピングは存在しないも同然
・カナダ流のもてなしを期待してはダメ。スイス人はプライバシーを尊重しているのだと思うけど、私たち北米人にしてみればちょっと冷たいと感じてしまう
・スイス人は(レストランで)会計を頼んで、じっと座って待つのも平気。食事は、ちょっと休憩というよりもむしろイベントのように楽しむものらしい
・ドリンクのお代わりは存在しない
・コーヒーは高いけどとても美味しい。小さなチョコレート付きで出てくる
・一体いつになったらヨーロッパでドリンクに氷が入ってくるんだろう?私たち(アメリカ人)がどうしてそこまで氷にこだわるのか分からないけど、氷入りのドリンクが欲しい
・道は狭いが穴ぼこの道はない
・交差点の信号の代わりにあるのはラウンドアバウト。横断歩道も、そこを渡る歩行者も多い。大都市では運転が乱暴(カナダ人にとっては)。パトロール中の警察官を見かけない。物乞いも少ない。16歳の若者が公共の場でアルコールを飲める
・過去10年の間にドイツ語圏のスイス人がなんと不愛想になったことか
・レストランでは無料で水が出てこない。水を頼めばボトル入りの水を出される
・スピード違反の監視カメラが至る所にある。しかも制限速度を1キロオーバーしただけで罰金が取られる
・スーパーのレジでは、買ったものを袋に入れてくれる人がいない。マイバッグを持っていくかレジで袋を買う必要あり
・ドリンクに氷を入れてもらうのに一苦労する。店の営業時間が短い
・他人とテーブルをシェアしても平気
・夜の何時に外を歩いても、とても安全に感じた
・到着ターミナルからメインターミナルへ行くモノレールでヨーデルが流れる。ほとんどの人は何か面白い言語を話し、きれいな身なりをしている。あと、どこにもゴミが落ちていない
(英語からの翻訳・由比かおり)
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