1杯110万円のウイスキー、偽物と判明
スイス東部サン・モリッツのホテルで7月末、中国人観光客が注文した世界で最も高い1杯9999フラン(約110万円)のウイスキーが偽物ではないかと指摘されていた問題で、専門家が鑑定した結果、偽物だったことが分かった。ホテル側が2日、事実関係を認めた。
ウイスキーは1878年製造と書かれた未開封のザ・マッカラン。ホテル「ヴァルトハウス・アム・ゼー」のバーを訪れた中国人男性チャン・ウェイさんが注文した。1878年に製造された未開封のボトルは本物なら世界で最後の1本とされ、大きな話題になった。しかし、ウイスキーの専門家らから「偽物ではないか」との指摘が相次いだため、ホテル側が鑑定を依頼した。鑑定は英国のオックスフォード大学で行われた。
ホテルの声明によると、鑑定は「放射性炭素年代測定」と呼ばれる手法で行われ、ボトル内の液体は「95%の確率で1970年から72年に作られたもの」だったことが判明。さらに、シングルモルトではなくモルト60%、グレーン40%のブレンドウイスキーである可能性が高いという。
ホテルのオーナー、サンドロ・ベルナスコーニさんが中国まで行き、チャンさん本人に謝罪。代金全額に当たる小切手を手渡した。
ベルナスコーニさんは声明で「結果は非常にショッキングなものだった。お客様に返金が出来てよかった」とコメントした。
ベルナスコーニさんは2日付のスイスの無料紙20Min.に対し、チャンさんはホテル側の行為に感謝してくれ、二人でウイスキーの話をしながら北京の夜を楽しんだと話した。
問題のボトル
ボトルはベルナスコーニさんの父親、クラウディオさんが25年前に「5桁の金額(100万円以上)」で購入したという。
ベルナスコーニさんは「お客様に世界で最もレアで古いウイスキーを提供するとなると、それが100%本物であると確かめるのは義務だと思った」と話す。
このホテルのバーは世界最大のウイスキーコレクション(2500本)を持ち、ギネスブックにも掲載されている。今のところ、他に偽物と疑われるものはないという。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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