The Swiss voice in the world since 1935

スイスで「購買力サミット」初開催 銀行手数料の撤廃求める

Stefan Meierhans, Swiss price watchdog, with Sophie Michaud Gigon and Sara Stalder
シュテファン・マイヤーハンス連邦価格監督官は、インフレに伴い消費者の経済的負担が増大していることから、消費者保護団体を交えたスイス初の購買力サミットの開催を決定した Keystone / Marcel Bieri

スイスの価格監視機関は5日、消費者保護団体を招き「購買力サミット」を開いた。全般的に物価が上昇する中、即効性のある措置として銀行の手数料と医療保険料の抑制に取り組むべきだとの認識で一致した。

ドイツ語圏の消費者保護財団のサラ・シュタルダー理事長は会合後の記者会見で「金利が低かったとき(銀行は)新たな銀行手数料を徴収することに工夫を凝らし、口座の閉鎖にさえ手数料を課した。形勢が逆転し金利が上昇した今、銀行は銀行手数料を撤回するべきだ」と述べた。

医療保険料の引き下げもすぐに可能な措置として俎上に乗った。フランス語圏スイス消費者連盟のソフィー・ミショー・ジゴン理事は、現在検討中の医療保険制度改革が完了するまで保険料を据え置くべきだと訴えた。

食品・エネルギー業界に対しても、小売価格と利益率について透明性を向上するよう求めた。消費者団体は「政治家が価格改革の行き詰まりを打開するために迅速かつ果断に行動することを期待している」と強調した。

またスイス郵便やスイス連邦鉄道(SBB/CFF)など国有企業が率先して値上げを自制することにも期待を示した。

消費者団体と価格監察官は、この問題に関して的を絞った形で協力していくことで合意した。

次は2024年に開催

スイスで購買力をテーマにした公式会合が開かれるのは初めて。主催したステファン・マイヤーハンス連邦価格監督官は「消費者の経済的負担の急増と、その理由が不透明な場合も多いことを考慮し、会合の開催が必要だと判断した」と説明した。

スイスの国民が抱える経済的不安は増大している。マイヤーハンス氏によると、消費者保護団体や価格監視機関にも日々不安を訴えるメッセージの数が増えている。

サミット参加者らは来年初めに次回会合を開き、経済界代表も招待する予定だ。

英語からの翻訳・編集:ムートゥ朋子

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

コーデリア・ベール

おすすめの記事

TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出

このコンテンツが公開されたのは、 米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。

もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
卵の棚

おすすめの記事

ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。

もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
スイスのカリン・ケラー・ズッター大統領

おすすめの記事

スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、米国の追加関税について、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談した。

もっと読む スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
スイスのケラー・ズッター大統領とパルムラン経済相

おすすめの記事

スイス、トランプ関税に報復せず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は3日、ドナルド・トランプ政権が同日発表した関税に対し、当面は対抗措置を取らないと表明した。

もっと読む スイス、トランプ関税に報復せず
BYDの車

おすすめの記事

スイスにBYDが上陸 年内に15店舗

このコンテンツが公開されたのは、 中国のEVメーカー比亜迪(BYD)が正式にスイス市場に進出する。年内に全国で15店舗を出店する計画だ。

もっと読む スイスにBYDが上陸 年内に15店舗
スイスFINMA

おすすめの記事

スイス金融当局が組織再編 リスク管理部門を新設

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの金融市場監督機構(FINMA、日本の金融庁に相当)は1日、監督体制を強化するため組織を再編したと発表した。クレディ・スイス危機への反省から、立ち入り検査機能を増強する。

もっと読む スイス金融当局が組織再編 リスク管理部門を新設
シモン・プリュス氏

おすすめの記事

スイスで凍結されたロシア資産、1.25兆円に 所有者の特定進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦経済管轄局(SECO)は1日、これまでに国内で凍結したロシア資産は74億フラン(約1兆2500億円)になったと発表した。資産の所有者の特定が進んだことで、昨年4月から1年で16億フラン増えた。

もっと読む スイスで凍結されたロシア資産、1.25兆円に 所有者の特定進む

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部