スイスのメディアが報じた日本のニュース

日本のスーパーマーケットで買い物をする人たち — 地方紙ブントは「財布をなくしても、たいていの場合はすべて手元に戻ってくる日本」で、セルフレジを悪用した万引き被害が問題になっていると報じました Keystone

今週（8月25日〜31日）スイスの主要報道機関が伝えた日本関連のニュースから3件をピックアップ。要約して紹介します。

このコンテンツが公開されたのは、 2023/09/01 12:00

5 分

2004年から日本およびスイスの映像・メディア業界で様々な職務に従事。

「日本の男女格差は経済分野で深刻」「セルフレジで横行する万引き」「関東大震災から100年」「日本の生涯子供なし、18歳女性で33.4％」「立ったまま寝る仮眠ボックス」「トヨタ、システム不具合で車両生産ストップ」「H2Aロケット47号機打ち上げ」―といったトピックスが取り上げられました。

この中から今回は「日本の男女格差は経済分野で深刻」「セルフレジで横行する万引き」「関東大震災から100年」をご紹介します。

日本の男女格差は経済分野で深刻

独語圏日刊紙NZZは29日、労働市場の人手不足解消のため女性の就労促進を目指す日本で、いまだ改善されない男女格差についての記事を配信しました。

世界経済フォーラム（WEF）の最新のジェンダーギャップ報告書で、日本は146カ国中125位と過去最低を記録。特に深刻なのは経済分野でした。

同紙は、日本で女性の雇用率は10年前と比べ1割上昇したものの、残業や接待を避けるために派遣やパートタイムで働く女性は少なくないと説明。女性の管理職登用や賃金格差の是正が、安倍政権下のウーマノミクス時代から遅々として進んでいないと指摘しました。また根強い「三歳児神話」や親の介護問題なども妨げになっていると説明しました。

その一方で、職場でのセクシュアルハラスメントやマタニティハラスメントについて発言することはもはやタブーではなくなり、育児休業を取得する男性も増え、改善された部分はあると指摘。子育てや高齢の家族の介護に追われる女性が多い中、賃金だけでなくこうした分野でサポートを提供すれば、男女格差解消の道を切り開く可能性が出てくると論じました。

記事ではほかにも、横浜市議会で未就学児を抱える唯一の「ママ議員」である小酒部さやか氏を取材。同氏が体験したマタハラや、「日本の最大の問題は、あらゆるところで自分の役職に固執している多くのシニア世代の存在だ」といった声を伝えました。（出典：NZZ外部リンク／独語）

「日本は泥棒の国ではない」セルフレジで横行する万引き

日本でセルフレジを悪用した万引き被害が問題になっていると独語圏地方紙ブントが報じました。

記事によると、セルフレジの読み取りスキャナーに商品のバーコードをかざすふりをするだけだったり、商品をわざと落としてそのままポケットに入れたりするなどの万引き行為が横行。そのため、防犯カメラに映った万引き客の画像や情報を共有するなどといった、小売各社による会社の垣根を超えた取り組みが始まっていると伝えました。

同紙は「日本は泥棒の国ではない。日本で財布をなくしても、たいていの場合はすべて手元に戻ってくる。小売業界におけるこうした議論が、日本人を実際よりも少し犯罪的に見せているのかもしれない」としながらも、日本ではセルフレジ万引きの常習者が実際増えていると説明。「いざとなれば日本は技術への信頼がある。いつの日か、セルフレジを監視する機械が出てくるかもしれない」と締めくくっています。（出典：ブント外部リンク／独語）

関東大震災から100年

NZZは今週、100年前の1923年9月1日に起きた関東大震災の大型記事を配信しました。震災の発生直後に撮影された多くのアーカイブ写真とともに、津波や火災、混乱下で起こった朝鮮人の虐殺などについて伝えました。

記事は、日本では今後30年以内に7割の確率で首都直下地震が起きると言われていることについて言及。大規模な対策のおかげで、100年前よりも備えができているといった専門家の声を紹介しました。（出典：NZZ外部リンク／独語）

注目のスイスのニュース

今週、最も注目されたスイスのニュースは「スイスのスキー場、気温4度上昇なら4割が雪不足に」（記事／日本語）です。ほかに「『村にいる牛の色は？』帰化申請者に不適切な質問リスト　スイス紙調査で」（記事／日本語）や「ロレックス、宝飾小売ブヘラを買収　新品・中古の販売網強化」（記事／日本語）も話題になりました。

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次回の「スイスのメディアが報じた日本のニュース」は9月8日（金）に掲載する予定です。