スイスのメディアが報じた日本のニュース
スイスの主要報道機関が先週(1月15日〜21日)伝えた日本関連のニュースから、3件をピックアップ。要約して紹介します。
【スイスで報道されたトピック】
- スイスで空前の日本ブーム(1/16)
- イタリア人漫画専門家に聞く「キャプテン翼」最終回(1/16)
- 日航社長に初の女性(1/17)
- 酔った乗客が乗務員に噛みつきANA米国便引き返す(1/17)
- 能登半島地震の死者232人に(1/17)
- 芥川賞九段氏、執筆にChat GPTを活用(1/18)
- 日本が初の月面着陸(1/19)
- 地震被害、石川県で3万戸(1/20)
- 佐野海舟にドイツ1部・ブレーメンがオファー(1/20)
この中から今回は①日本が初の月面着陸②日航社長に初の女性③日本を愛するスイス人をご紹介します。
月面着陸は成功?失敗?
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日未明、無人探査機「SLIM」が月面着陸に成功したと発表しました。ただし太陽光発電がうまく機能せず、バッテリーに頼っている状況です。着陸成功はスイスでも各言語圏で大きく報じられる一方、批判的な見出しも目立ちました。
ドイツ語圏の日刊紙NZZは「日本は月面着陸に成功した5番目の国となる」との見出しで、軟着陸に成功した点に注目しました。有人月面探査や火星探査を見据えた米国との「アルテミス計画」の一環であることを詳しく紹介し、 SLIM を「月面着陸技術の画期的進歩」と称賛。衛星打ち上げビジネスでの地位を高めたい日本にとっても重要な成功だと位置づけました。
一方、ドイツ語圏の日刊紙ターゲスアンツァイガーをはじめ複数紙が独DPA通信の記事を引用し「太陽電池が今後、発電するかは不明」で「無人着陸が計画通り100メートル圏内で行われたかどうかもまだ分からない」と指摘。米民間企業アストロボティック・テクノロジーが「ペレグリン」の打ち上げに失敗したことも挙げ「専門家は、最近の失敗の問題は、1960年代後半~70年代前半のミッション以来、多くの知識が失われていることにあると考えている」と解説しました。
フランス語圏の日刊紙ル・タンは仏AFP通信の記事を転載し、電源喪失の危険性を強調。「1969年の米国人による人類初の月面着陸から50年以上が経ち、月面は再び世界的な競争の対象となっている」なかで、日本や米国も苦戦している実態を説明しました。(出典:NZZ外部リンク、ターゲスアンツァイガー外部リンク/ドイツ語、ル・タン外部リンク/フランス語)
日本では稀な女性社長
日本航空(JAL)は17日、鳥取三津子専務が4月1日付で社長に昇格する人事を発表しました。 スイス通信(Keystone-SDA)フランス語版がこれを報じたほか、オンラインニュースサイトBluewin.chフランス語版が仏AFP通信の記事を転載しました。
Bluewin.chフランス語版は「日本の大企業では女性が階層のトップに昇進することはまだ稀」と指摘し、上場企業の取締役の女性比率が経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の半分に過ぎず、女性管理職の割合もOECD最低であることに触れました。
また今月2日に羽田空港でJAL機・海上保安庁機の衝突事故が起きた直後の人事であるとし、鳥取氏の「航空会社の根幹である安全運航には今後も揺るがぬ信念を持って強い思いで取り組みたい」との言葉を紹介しました。(出典:Bluewin.ch外部リンク/フランス語)
スイスで空前の日本ブーム
「旅行からグルメまで 日本を愛するスイス人」―無料紙20.minドイツ語版はこう題した記事で、日本を旅行するスイス人が急増していると報じました。旅行代理店では日本行きの依頼が2019年比で34%増え、2023年は「日本イヤー」だったと言います。ホリデーラウンジやトゥイ・スイスなどでも同様の人気ぶりを呈しています。
その背景には記録的な円安・フラン高があるとし、グローブトロッターの「日本は数年前から最も人気のある旅行先で、多くの顧客が初訪日の後必ずもう一度行きたがる」との言葉を引用しました。またスイス国内で日本人向けの漫画を描いたり、漫画バーや日本のお菓子の輸入販売店を経営したりといった4人の「日本オタク」スイス人を紹介しました。(出典:20min.外部リンク/ドイツ語)
話題になったスイスのニュース
先週、最も注目されたスイスのニュースは「スイス、ウクライナの『和平サミット』を共催へ」(記事/日本語)でした。他に「『強制』を構成要件から除外 スイス、強姦の定義を変更」(記事/日本語)、「Hinduja family to stand trial in Switzerland for exploiting domestic help」(記事/英語)も良く読まれました。
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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は1月29日(月)に掲載予定です。
校正:大野瑠衣子
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