スイスの時計製造にかかるコストの最低6割を国内で負担する新規制をめぐり、米コンサル大手デロイトが27日、時計製造業界はおおむね好意的に受け止めているという調査結果を発表した。
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デロイトがスイスの時計業界を対象に行った調査外部リンクによると、企業役員ら60人のうち44%が、「スイス製」についての新規制を好意的に受け止めていると答えた。好ましくない影響が生じるとして否定的だったのは2割だった。
スイスは今年1月、時計製造にかかる国内コストを従来の5割から6割に増やす新規制を施行。企業側には新規制へ移行するまで2年間の猶予がある。
ただ、高級路線と低価格路線の企業で温度差がある。高級路線の企業は、すでに国内の製造コストが6割に達し、固有の部品については100%に近いほか、更なる品質の厳格化も求める。低価格路線の企業は36%がマイナスの影響が出ると答えるなど、新規制に悲観的だ。
新規制が製造部門の国内回帰につながると答えたのは40%、つながらないと答えたのは47%に上った。
中国の盛り返し
時計産業の役員らは、弱い外需が時計産業の最大のリスクだと指摘する一方、71%の成長を見込む中国市場については楽観的な見方だ。
デロイトは、輸入税の30%から60%への値上げなどにより中国国内の売り上げが増加すると予測。今年1~8月の売上高もすでに前年同期比で約20%増加している。一方、スイス製時計の最大の輸出国の香港市場は下げ止まりの傾向にある。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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