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スイスの貿易、コロナ危機で歴史的な落ち込み

時計
時計業界は、新型コロナウイルス危機による小売店閉鎖と渡航制限の影響が特に大きかった © Keystone / Gaetan Bally

スイスの昨年の輸出入総額は400億フラン(約4兆3200億円)減少し、3年前の水準に逆戻りした。新型コロナウイルス危機が響いた。

連邦政府が28日発表した2020年の貿易統計によると、輸出額は2251億フラン(前年比7.1%減)、輸入額は1821億フラン(同11.2%減)と、いずれも歴史的な落ち込みとなった。店舗封鎖や渡航制限が始まった第2四半期は、前例のないペースで急落した。

輸出入額の減少幅は2009年以来の大きさ。

輸出が1.6%増えた(18億フラン増)化学製品、医薬品を除き、すべての輸出部門が減少した。顕著なのが宝飾品と時計で、減少分の50%を占めた。時計の売上高は3割減(40億フラン減)、宝飾品は2割減(47億フラン減)だった。

地域別では、アジアへの輸出が最も減少した(8.8%減)。香港と日本は計30億フラン減ったが、中国は13億フラン増加し、過去最高の147億フランを記録した。主に化学・医薬品が伸び、時計業界も一部貢献した。

欧州への輸出は6.2%減、81億フランの減少となった。フランスへの輸出の落ち込みが顕著で、2000年以来の低水準となった。北米への輸出は6.1%減少した。

輸入はアラブ首長国連邦からの製錬用の金をはじめ宝飾品の輸入が大きく減った。逆に増えたのはテキスタイルで、特に防護服とマスクが増加した。地域別では、米国が16%減、欧州が11.2%減、アジアが9.9%減となった。

時計業界が深刻

スイス時計協会FHは28日、コロナ危機で国内の時計業界全体が深刻な不振に陥っていると発表した。時計の昨年の輸出額外部リンクは約170億フラン減少し、前年比でほぼ22%の落ち込みとなった。

落ち込み幅は金融危機後の2009年(22.3%減)に匹敵する数字だ。 昨年の第2四半期は、輸出が61.6%の減少となった。同年後半には、中国での需要回復により改善が見られた。

スイスの時計メーカー、スウォッチグループはパンデミックの影響が顕著で、創業した1980年以来初の年間赤字となった。同グループが28日発表した2020年決算によると、売上高は前年比32%減の約56億フランだった。5300万フランの純損失となり、前年の純利益7億4800万フランから大幅に落ち込んだ。政府の感染予防措置に伴う小売店の閉鎖と、渡航制限が響いたという。

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