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スイスのZ世代、コロナ後も悲観的

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© Keystone / Gaetan Bally

スイス人の幸福度は、昨年春にコロナ規制が解除されて以降、全体的に向上したが若い世代はいっそう悲観的に――世論調査会社ソトモが1日発表した第3回「ジェネレーション・バロメーター外部リンク」で、こんな傾向が浮き彫りになった。

特に18~25歳のZ世代は顕著で、将来の展望について肯定的な回答は19%にとどまった。2021年の前回調査では43%だった。

特に職業における差別が悪化していると回答。将来の展望が見えず、十分に理解されていないと感じている。Z世代の半数以上が、スイスには世代間ギャップがあると回答した。満足度の世代間による違いは、今回の調査で最も顕著に表れた。前回の調査から幸福度が上がっていたのは主に35歳以上だった。

分断の主因は再び「貧富の差」に

今回の調査で、スイス社会を分断する最も大きな原因は「貧富の差」だとする回答が70%と最多だった。欧州諸国よりも貧富の差が大きいとみる回答者も多い。

前回調査では、新型コロナウイルス感染症の規制を巡る賛否がスイス社会を分断する主因とみる回答が最多だった。パンデミックが下火になった今回は、インフレやエネルギー危機による生活費の上昇を背景に、国民の関心がシフトした。

その反面、相続税による富の再分配は望まないとする回答も多かった。ほぼ半数(47%)は、スイスでの相続税を望んでいなかった。スイスには、連邦レベルの相続税は存在しない。相続税は州単位で決まり、比較的低額だ。被相続人との血縁関係や相続される額によって異なり、大半の州では、直系尊属に対する相続税を支払う必要が全くない。

第3回ジェネレーション・バロメーターは2022年11月、スイスのドイツ語圏およびフランス語圏で実施された。18歳以上の計2787人がオンラインでインタビューに応じた。

英語からの翻訳:シュミット一恵

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