スイスチョコレート
スイスはチョコレート大国だ。国民一人当たりのチョコレートの年間消費量は世界トップクラス。リンツ&シュプリングリやカイエ、バリーカレボー、ネスレなど、チョコレート製造で世界最大手のメーカーも抱えている。
スイスチョコレートの歴史
カカオも育たない国が、どうやって世界有数のチョコレート生産国としての地位を築いたのか。まずはスイスのチョコレート史を見てみよう。
板チョコ、ミルクチョコレート、コンチング、チョコレートフォンデューーいま世界にあるチョコレート製品はスイスの菓子職人と企業家の努力の賜物だと言える。
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スイスとアフリカのカカオ豆
カカオなくしてはチョコレートあらず。中南米が原産のカカオ豆が西アフリカで初めて栽培されたのは、1868年。キュー王立植物園(ロンドン)の記録によると、当時、旧英領植民地だったゴールド・コースト(黄金海岸)のアクロポンにあるバーゼル宣教会(本拠地スイス)の敷地に数本のカカオの木が植えてあったと記されている。それから1世紀半経った今、チョコレートはスイスの代名詞的な地位を確立し、西アフリカは世界最大のカカオ豆生産者に育った。
動画解説:カカオ豆がチョコレートとお金にかわるまで
だが現地の生産者の5分の1は、カカオ栽培で生計を立てることさえできていない。カカオ豆の生産から販売までの過程で多くの仲介者が存在し、最終製品の売り上げのうち原料生産者の取り分はたった7%に過ぎない。どうしたらこの状況を打開できるのか?5人の専門家に聞いた。
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チョコレートと科学
チョコレートは、自然と高濃度のカドミウムが含まれてしまう珍しい食品の1つ。ラテンアメリカの一部地域の土壌には有毒な重金属が比較的多く存在することが知られ、それが最終的にカカオ豆にも蓄積される。スイスはカカオ豆の20%をこの地域から調達している。
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スイスの研究者チームは2021年、カカオ豆の細胞培養によるチョコ作りに世界で初めて成功した。原料の心配をせずに生産できる「無限チョコレート」も夢ではない。従来のカカオ栽培に取って代わる技術革新として期待が高まる。
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編集:ムートゥ朋子
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