The Swiss voice in the world since 1935

「国際法よりスイスの法律を優先」連邦議会は反対を表明

シモネッタ・ソマルーガ司法相
シモネッタ・ソマルーガ司法相(左) Keystone

スイス連邦議会は、国際法より自国法を優先する国民発議「国内法優位イニシアチブ」に対し、反対を表明した。イニシアチブは議会の決定に関係なく国民投票で有権者の是非を問う。

 国民議会(下院)で11日に行われた採決は反対127票、賛成67票で、全州議会(上院)に続き否決された。採決に先立って行われた議論は9時間以上に及び、採決は深夜0時前にずれ込んだ。

>>スイスの「国内法優位イニシアチブ」って何?  

 保守派・国民党が立ち上げたこのイニシアチブは今年後半に国民投票が行われる見通し。同イニシアチブは、国際法上の強行規範(拷問、奴隷制度、侵略の禁止など)を除き、いかなる場合においても連邦憲法が国際法に優先するという条項を、連邦憲法に盛り込むことを求めている。

 国民党は「近年、連邦最高裁判所、連邦内閣、行政、法曹界は国際法が国内法に優先する、という風潮にある」と批判し、憲法を最上位にすえることで「スイス固有の民主主義を取り戻す」と訴える。

 連邦政府は昨年、国際法を軽んじる姿勢を取れば他国の信頼を失うなどとしてこのイニシアチブに反対を表明。発起人の国民党以外にイニシアチブを支持している政党はいない。

 スイスのシモネッタ・ソマルーガ連邦司法相は、イニシアチブは「白か黒か」を決める極端なもので、「スイスのあり方と正反対だ」と述べた。さらにイニシアチブが可決されればスイスは不必要な「コルセット」によって締め付けが厳しくなると懸念。イニシアチブの内容は漠然としていて矛盾を含んでいると付け加えた。

最も読まれた記事
在外スイス人

世界の読者と意見交換

ニュース

大阪・関西万博

おすすめの記事

スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール

このコンテンツが公開されたのは、 日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。

もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
クラウス・シュワブ氏

おすすめの記事

WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任

このコンテンツが公開されたのは、 世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。

もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
コーデリア・ベール

おすすめの記事

TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出

このコンテンツが公開されたのは、 米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。

もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
卵の棚

おすすめの記事

ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。

もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
スイスのカリン・ケラー・ズッター大統領

おすすめの記事

スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、米国の追加関税について、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談した。

もっと読む スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部