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スイスフランの高騰に拍車

ヨーロッパは2002年にユーロ貨幣の流通が始まって以来の大危機に直面している。逃避通貨のスイスフランの価値は上がる一方だ AFP

8月2日、ユーロが対スイスフランでこれまでの最安値を記録した。ヨーロッパの債務危機の拡大と世界的な景気後退への不安から、ユーロを見放す投資者が一段と増えた。

この日、ユーロは前日からの続落で1.10フランを割り、夕方には1.09フランを切って1.0847フランの最安値を記録。

 ドルも0.7643フランと新たに最安値を記録し、前日の0.7836フランを大幅に下回った。

 これらの通貨下落の結果、金の価格がさらに上昇し、同日午後には1635.90ドルの最高値を記録。1日で20ドル以上跳ね上がった。

予想は変わらず

 スイス通信(SDA/ATS)によると、スイスフランの急伸にもかかわらず、スイス大手銀行のエコノミストはこれまでの景気予想をほとんど修正していない。

 例えばクレディ・スイス(Credit Suisse)の景気予想はほかに比べて低く、今年の国内総生産(GDP)の伸び率を1.9%、来年の経済成長率を2.2%と見ている。

 チーフエコノミストのマルティン・ネフ氏は「今年後半の成長率が伸びるとは全く思っていなかった。今回の景気予想はこれまでにないほどぴったり当たった」と語る。

株式市場はマイナス

 スイスの証券市場は2日、一時約2年ぶりの最安値を記録した。証券市場指数(SMI)の終値は5546.94ポイントと前日比4.1%減。スイス企業約300銘柄を対象とするスイスパフォーマンス指数(SPI)も、4.1%減の5098.89ポイントで取引を終えた。

 ドイツ株式指数(DAX)は一時2.3%の下落を見せ、4カ月半ぶりの最安値を記録。ダウ平均株価も1万2000ポイントを割り、前日比2.19%減の1万1866.62ポイントで閉めた。これで8営業日続落となり、この間の落ち込みは7%近くになった。

スイス中銀の反応

  スイス国立銀行(SNB/スイス中銀)は同日、歯止めがかからないスイスフラン高を受けてついに市場介入に乗り出し、3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の目標レンジを0.0~0.25%に切り下げた。

 これは2009年3月以来の切り下げで、「スイスフランは現在大幅に過大評価されている」「3カ月物ロンドン銀行間取引金利をできるだけゼロに近くすることが目的だ」と発表した。

 スイス政府や市場関係者は全体的にこの措置を歓迎している。経済連合エコノミースイス(economiesuisse)は「市場に対する強いシグナル」だと評価すると同時に、スイス経済の競争力の強化に向けた長期対策の必要性を強調した。

 一方、日本でも円が逃避通貨となって円高が進んでおり、日本銀行は4日、金融緩和に向けて動き出した。

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