スイス国立銀行(中銀、SNB)は23日、政策金利を0.5%ポイント引き上げ、1.5%とすると発表した。インフレ(物価上昇)圧力を抑制するためだという。
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米連邦準備制度理事会(FRB)も22日、政策金利を0.25%引き上げることを決めた。FRBの利上げは9会合連続で、リーマンショック前の2007年以来の水準となる。
スイスの先月のインフレ率は米国や欧州諸国より低かったものの、エコノミストの予想を上回るペースで加速した。連邦統計局によると、2月の消費者物価は前年同月比で3.4%上昇。SNBの目標レンジ(0〜2%)を上回った。
経済活動はここ数カ月わずかに好転していたが、SNBは声明で「今年いっぱいは控えめな成長が続くだろう。海外からの需要が控えめであることや、インフレによる購買力の低下が足を引っ張っている」とした。
クレディ・スイス(CS)買収で金融セクターが揺れる最中の利上げとなった。スイス最大の金融機関UBSは19日、政府の支援が入る形で、経営難にある同業のCSを買収することで合意した。
SNBは連邦政府、金融市場監督機構(FINMA)、SNBによる措置が「危機に歯止めをかけた」とした。SNBは買収を円滑に進めるため、UBSとCSに1千億フラン(約14兆3千億円)の流動性支援を提供する。政府は、UBSが被る損失を90億フランまで保証する。
SNBは昨年12月、インフレ拡大への対抗策として政策金利を1%に引き上げた。22年3回目の利上げとなった。
今回の利上げはそれに続く4度目。金利は14年前の世界金融危機以来の高水準となった。スイスの金利は昨年9月、2015年以来続いていたマイナス金利を廃止した。
英語からの翻訳・宇田薫
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