連続利上げの目的について、スイス国立銀行(SNB)は声明で「インフレ圧力の高まりとインフレのさらなる広がり」に対抗するためだと述べた
Keystone / Anthony Anex
スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は15日、今年3回目となる利上げに踏み切った。
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SNB は政策金利である要求払い金利を0.5%から1.0%に引き上げた。6月にマイナス0.75%からマイナス0.25%、9月に0.5%に引き上げていた。
米連邦準備理事会(FRB)が14日に、英イングランド銀行(英中銀)と欧州中央銀行(ECB)が15日にそれぞれ0.5%利上げした。
スイスのインフレ率は8月に3.5%と40年ぶりの高水準に達したが、11月には3%まで下がった。近隣の欧州諸国に比べるとインフレ率は落ち着いているが、SNB の目標である0~2%を大きく上回り、今後も上昇が予想される。
SNBは15日の声明外部リンクで「インフレ圧力の高まりとインフレのさらなる広がり」に対抗するために、政策金利を引き上げていると述べた。
「中期的な物価安定を確保するために、SNB 政策金利の追加引き上げが必要になる可能性を排除できない」
また通貨フランが他の通貨に対して上昇しすぎるのを防ぐために、「必要に応じて外国為替市場で積極的に行動する」用意があるとも強調した。
他の中央銀行が相次ぎ金融政策を引き締める中で、スイスも利上げを進め、政策金利は2008年の世界金融危機以来の水準に達した。リーマン・ショック直前は2.75%だった。
SNBは、「世界的な成長モーメントの失速が続いている。同時に、多くの国でインフレ率が中央銀行の目標を著しく上回っている。したがって、多くの中央銀行が金融政策をさらに引き締めている」と説明した。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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