© Keystone / Gaetan Bally
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は22日の理事会で、政策金利を0.25%引き上げ1.75%にすると決めた。外国為替市場ではフラン高・円安が進み、過去最円安となる1フラン=159円台前半を付けた。
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SNBは政策金利である要求払い金利をこれまでの1.5%から1.75%に引き上げた。利上げは昨年6月から5会合連続だが、引き上げ幅は前回の0.5%から縮小した。声明外部リンクで、「中期的に再び高まりを見せるインフレ圧力に対抗する」と利上げ理由を説明した。
インフレ率は5月に2.2%と大幅に低下したものの、なおSNBの目標である0~2%を上回る。SNBは物価上昇圧力が続いており、行動を起こさなければ今後数カ月間にその圧力が高まるだろうと警告した。
SNBは「中期的に物価を安定させるため、政策金利の追加引き上げが必要になる可能性は排除できない」と述べた。外国為替市場でフラン買い・外貨売り介入も辞さない構えも示した。
SNBは昨年来、フラン高による輸出減から物価上昇対策に重点を移している。フラン安による輸入品価格の上昇を抑制するため、ここ数カ月間はフラン相場を押し上げるための外貨売り介入を繰り返している。物価上昇が固定化し、進路変更が難しくなるリスクがあるとみているためだ。
フランは対円で一時159円台
世界中の中央銀行は、パンデミックからの反動やエネルギー価格の高騰、ロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされたインフレ退治のために一斉に利上げに向かっている。
ただ日本は依然としてマイナス金利政策を続けている。こうした金融政策の温度差が意識され、22日の外国為替市場ではフラン買い・円売りが進んだ。一時1フラン=159円台前半と、変動相場制移行後の最フラン高・円安水準を記録した。
英語からの翻訳・追記:ムートゥ朋子
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