ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーは、スイス連邦裁判所(最高裁)が、従業員に在宅勤務の必要性が生じた場合、雇用主は家賃の一部を補助しなければならないとする決定を出したと報じた。
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訴訟は2016年時点のもので、判決外部リンクは今年4月23日に出された。個人情報は伏せられているが、同紙外部リンクによると、訴訟は在宅勤務をしていたある会計事務所の従業員のケースだ。
事務所側は、在宅勤務について従業員と事前の合意はなく、家賃補助の義務は生じないと主張したが、連邦裁は事務所側の訴えを退けた。さらに従業員には退社後も、時間をさかのぼって家賃補助を請求できるとも述べた。
判決によると、従業員が在宅勤務のために追加で部屋を借りたり、より広いアパートを借りたりしたかどうかは関係ないとした。また家賃補助は月額150フラン(約1万7千円)が相当とした。
スイスの連邦裁判所が、在宅勤務中の従業員の家賃補助に対して判断を示したのはこれが初めて。ザンクト・ガレン大学のトーマス・ガイザー教授(労働法)は同紙に対し「雇用主は、業務遂行で発生したすべての費用を従業員に払い戻すことが法律で義務付けられている」として、判決内容は当然だと語った。
ガイザー氏は、判決は雇用主から在宅勤務要請を受けた従業員にいずれも適用されると指摘する。ただ従業員側の希望で自宅勤務をしている場合は、必ずしもこの限りではないという。
労働組合の幹部らは、契約上は在宅勤務が義務付けられてはいないものの、さまざまな理由により半ば強制的に自宅勤務をしている労働者が、このケースからは除外されてしまうと懸念する。スイス労働組合連合外部リンク(SGB/USS)のルカ・チリグリアーノ書記長は、企業はオフィスの家賃を節約するため、勤務場所に柔軟性をもたせていることが多いと述べた。
チリグリアーノ氏は同紙に対し、こうした手法で雇用主が従業員へコスト転嫁することは非常に不公平で、違法だと語った。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、多くの企業は従業員に在宅勤務を命じた。判決がそうした状況のさなかに出されため、スイス国内では大きな注目を集めている。一部の雇用主は、現行の自宅勤務体制を延長、あるいは一部の従業員に在宅勤務を主力としていくかを検討している。
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