スイスの視点を10言語で

スイス大統領、エリザベス女王の国葬に出席

女王
1980年、スイスを公式訪問した英国のエリザベス女王。リュトリにて撮影 Keystone / Str

96歳で死去した英国のエリザベス2世女王は、1980年4月に夫のフィリップ王子と4日間、スイスを公式訪問。国内に大きなセンセーションを巻き起こした。

※2022年9月9日に配信した記事に内容を追加して再配信しています。

「エリザベス女王の訪問ほど、センセーションを巻き起こした国賓訪問はない」。スイス公共放送(SRF)は1980年の女王のスイス訪問をこう振り返った。当時のスイス大統領ジョージ・アンドレ・シェヴァラ氏が、軍のパレードと共に女王を歓迎。 厳重な警備が敷かれる中、群衆は女王を一目見ようと躍起になった。

4日間の滞在中、女王は列車とロールスロイスでチューリヒ、ベルン、バーゼル、ローザンヌ、モントルー、ルツェルンなどを訪問。ジュネーブの赤十字国際委員会を訪れたほか、スイス建国の地となったリュトリの丘でスピーチした。

ロイヤルファミリーの避暑地

女王が休暇をスイスで過ごすことはなかったが、他のロイヤルファミリーのメンバーにとっては人気の旅行先だ。今から150年以上前、ビクトリア女王と少数の側近が中央スイスで5日間を過ごした。英国君主としてスイスを訪れたのはビクトリア女王が初めてで、スイスの観光産業にもその足跡を残した。

王位を継ぐチャールズ皇太子はスイス東部のリゾート地クロスタースに山荘を持つ。二人の息子ウィリアム王子とハリー王子を連れてスキー場にいる姿がたびたび目撃されている。

エリザベス女王自身はスキーヤーではなかった。女王は1980年の公式訪問後、スイスの雑誌シュヴァイツァー・イルストリエルテ(Schweizer Illustrierte)に「スキーを習う時期を逸した」と語っている。

スイスの歴代大統領と面会

英国君主として歴代最長の70年にわたって在位した女王は、1998年にフラビオ・コッティ氏、2005年にはサミュエル・シュミット氏らスイス歴代大統領の訪問を受けた。12年7月には、当時のスイス大統領エヴェリン・ウィドマー・シュルンプフ氏がロンドン五輪の開会式後、エリザベス女王とチャールズ皇太子と面会した。

スイスのイグナツィオ・カシス連邦大統領は4月、ボリス・ジョンソン英前首相と自由貿易協定について協議するためロンドンを訪問。カシス氏は会談後、女王と面会。写真をツイッターに投稿し「女王陛下と会うことができて大変光栄だった」とつづった。

外部リンクへ移動

「エリザベス女王の逝去に深い悲しみを覚える」。カシス氏は8日、女王死去の速報が流れた直後、ツイッターに弔意を投稿。「連邦内閣とスイス国民を代表して、王室に心からのお悔やみを申し上げる。彼女は、偉大な強さと着実なリーダーシップを持った女性として人々の心に刻まれるだろう」とつづった。

スイス政府は9日、女王の逝去を受け、連邦議事堂に半旗を掲げた。

19日に執り行われる女王の国葬には、カシス氏が出席する。13日にスイス通信社Keystone-SDAが報じた。

半旗
Keystone / Peter Klaunzer

英語からの翻訳・宇田薫

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

笑顔で握手を交わす閣僚

おすすめの記事

2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。

もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
健康保険カード

おすすめの記事

医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査

このコンテンツが公開されたのは、 大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。

もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
連邦工科大学の校舎

おすすめの記事

スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。

もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
ベツナウ原発

おすすめの記事

世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。

もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
アルコール検査

おすすめの記事

スイスのドライバー、2割が飲酒運転

このコンテンツが公開されたのは、 欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。

もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
銃口

おすすめの記事

狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部

このコンテンツが公開されたのは、 先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。

もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
サルコ

おすすめの記事

自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束

このコンテンツが公開されたのは、 今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。

もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
金塊

おすすめの記事

スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。

もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
ポイ捨てされた空き缶と小鳥

おすすめの記事

スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。

もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部