スイスのイグナツィオ・カシス大統領は、ウクライナ侵攻に対する制裁としてロシアの外交官を追放しない方針を明らかにした。
このコンテンツが公開されたのは、
カシス氏は7日、フランス語圏のスイス公共放送(RTS)のインタビュー外部リンクで「連邦内閣は、外交官の追放は何かに対する制裁としてではなく、安全保障政策の文脈で措置を講じることにした」と語った。この政策を変え「ゲームのルールを変更すれば、多くの混乱を引き起こしかねない」と説明した。
キーウ(キエフ)近郊のブチャからロシア軍が撤退した後に数百人の民間人遺体が発見され、その報道から48時間以内に欧州各国が追放したロシア外交官は約200人に上った。ロシア側は虐殺疑惑を強く否定。ワシリー・ネベンジャ国連大使は「いかなる民間人にいかなる暴力も振るわれていない」と訴えた。
カシス氏はウクライナで何が起こったのか事実が立証される前に「戦争犯罪」という語を使うことに注意を促した。スイスは戦争犯罪があったかどうかを検証するための独立した国際調査を要望するとの主張を繰り返した。国連人権理事会は先月、調査委員会の設置を決めている。
「戦争犯罪を示唆するものではある。だが法廷がそう判断するまで、それは戦争犯罪ではない」
スイスは人権理事会で7日に採決されたロシアの資格停止案に賛成した93カ国の1つだ。理事会からの加盟国追放は、2011年のリビアに続いて2例目だ。ロシアは、賛成票や棄権を「非友好的なジェスチャー」とみなし、二国間関係で報いを得ると警告した。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
おすすめの記事
スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。
もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
おすすめの記事
2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。
もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
おすすめの記事
CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
このコンテンツが公開されたのは、
今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。
もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
おすすめの記事
「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。
もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
続きを読む
おすすめの記事
スイス検察庁、ロ軍による戦争犯罪の証拠集めへ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦検察庁は22日、ウクライナで戦争犯罪が行われた証拠を収集するためのタスクフォースを立ち上げたと発表した。
もっと読む スイス検察庁、ロ軍による戦争犯罪の証拠集めへ
おすすめの記事
国際司法枠組みでロシア指導者を処罰できるか?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスを含む加盟39カ国の要請を受け、国際刑事裁判所(ICC)がウクライナ侵攻における戦争犯罪などの捜査に着手した。ロシアとその指導者たちが、法廷で裁かれる可能性はあるのだろうか?
もっと読む 国際司法枠組みでロシア指導者を処罰できるか?
おすすめの記事
対ロ制裁でスイスの多国籍企業に試練
このコンテンツが公開されたのは、
ロシアに対する経済制裁を受け、スイス企業はロシア企業と距離を置こうと努力する。だがロシア企業との関係を公開し、完全に断ち切るよう求める声が強い。
もっと読む 対ロ制裁でスイスの多国籍企業に試練
おすすめの記事
紛争国での偽情報とプロパガンダに対抗するには
このコンテンツが公開されたのは、
情報は強力な武器だ。デジタル技術の発展に伴い、真実を歪曲させることがかつてなく容易になった。真実が標的にされることはウクライナ戦争だけでなく、今日の紛争で多くなっている。錯綜する情報の背景にあるものとは?そして真実を取り戻す方法とは?平和構築の専門家に聞いた。
もっと読む 紛争国での偽情報とプロパガンダに対抗するには
おすすめの記事
戦争犯罪容疑者を裁く スイスで期待高まる
このコンテンツが公開されたのは、
非軍事裁判所におけるスイス初の戦争犯罪裁判が年内に行われる見込みだ。スイスの人権NGO(非政府組織)トライアル・インターナショナルによると、国際法上の重大犯罪について発生地や加害者の国籍に関係なく自国で裁く「普遍的管轄権」を行使する裁判が世界中で増えている。スイスでも同様の事件が複数捜査中だが、NGOは手続きの迅速化が必要だと訴える。
もっと読む 戦争犯罪容疑者を裁く スイスで期待高まる
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。