スイスの視点を10言語で

スイス核廃棄物処分場の建設予定地、ドイツ側も「妥当」判断

核廃棄物の格納容器
核廃棄物の運搬・保管用に設計された格納容器 Petra Orosz

ドイツの「スイスの深地層処分に関する専門家グループ(ESchT)」は17日に発表した報告書で、スイス北部レーゲルン地方はスイスの核廃棄物最終処分場の建設候補地として適切であるとの見解を示した。

放射性廃棄物管理協同組合ナグラ(NAGRA外部リンク)が建設地として提案したチューリヒ北部レーゲルン地域はドイツ国境付近に位置する。ドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全・消費者保護省(BMUV)の委託で作成されたESchTの報告書は、NAGRAの示した根拠は原則として理解でき、妥当であるとした。

ESchTは、候補地の適性調査後に得られた「技術的安全性に関する最新の知見」に基づき見解をまとめた。17ページの報告書の中で、スイスは科学的で透明性のある手続きに基づき候補地を選出しており、ドイツの放射性廃棄物の処理場の立地選定に関する立地選定法の要件を満たしていると結論付けた。また、アールガウ州ヴュレンリンゲンにある中間貯蔵施設で、あらゆる種類の放射性廃棄物を処分容器に格納するというNAGRAの判断は妥当だとした。

特に核廃棄物の輸送ルートに関する情報を適切な時期に提供するようNAGRA提言した。また、地元関係者と協働するよう求めた。

連邦エネルギー省エネルギー局(BFE/OFEN)は先月12日、放射性廃棄物を深層地層に埋蔵して処分する施設の建設候補地として、ドイツ国境からほど近いレーゲルン北部をNAGRAが選出したと発表した。スイスにおける放射性廃棄物最終処分場の選定は、既に約半世紀前から続いている。候補地として、スイス北部のレーゲルン地方、チューリヒ州ヴァインラント地方、アールガウ州ジュラ東部の3地域が挙がっていた。

英語からの翻訳:シュミット一恵

おすすめの記事
北部レーゲルン地方、ハーバーシュタール・シュターデル地域に深地層処分場が設置される

おすすめの記事

スイスの核廃棄物、スウェーデンのように歓迎される日は来るのか?

このコンテンツが公開されたのは、 長年にわたる調査・選定を経て、スイスの核廃棄物深地層処分場建設予定地が発表された。一歩先を行くスウェーデンでは、地域住民の大多数が施設建設を支持している。

もっと読む スイスの核廃棄物、スウェーデンのように歓迎される日は来るのか?


人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

クレディ・スイスのロゴ

おすすめの記事

クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書

このコンテンツが公開されたのは、 クレディ・スイスが経営危機に陥った責任を追究するスイス連邦議会の調査委員会は20日発表した報告書で、原因は長年にわたる経営上の不始末にあったと結論付けた。

もっと読む クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書
笑顔で握手を交わす閣僚

おすすめの記事

2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。

もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
健康保険カード

おすすめの記事

医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査

このコンテンツが公開されたのは、 大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。

もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
連邦工科大学の校舎

おすすめの記事

スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。

もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
ベツナウ原発

おすすめの記事

世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。

もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
アルコール検査

おすすめの記事

スイスのドライバー、2割が飲酒運転

このコンテンツが公開されたのは、 欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。

もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
銃口

おすすめの記事

狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部

このコンテンツが公開されたのは、 先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。

もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
サルコ

おすすめの記事

自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束

このコンテンツが公開されたのは、 今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。

もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
金塊

おすすめの記事

スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。

もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部