スイスの視点を10言語で

スイス行政裁、ポストファイナンスへの増資命令を支持

ポストファイナンスのATM
クレディ・スイス危機を受けて、ポストファイナンスの今後に注目が集まっている © Keystone / Christian Beutler

スイス連邦行政裁判所は13日、スイス金融市場監督機構(FINMA)によるポストファイナンスへの資本増強命令を支持する判決を下した。

ポストファイナンスはスイス郵便グループの金融サービス部門。2015年に「Too big to fail(大きすぎて潰せない)」銀行の1つに認定された。厳しい監督基準が課され、損失が発生した時のために十分な資本金を積んでおかなければならない。

FINMAは2021年7月、ポストファイナンスに資本金の積み増しを命令。これに対しポストファイナンスは、FINMAによる金利リスクの評価に問題があるとして、行政裁判所に異議を申し立てていた。

行政裁がこの訴えを退けたため、ポストファイナンスは増資命令に従わなければならない。正確な金額は不明だが、裁判所への提出資料によると少なくとも2億7000万フラン(約400億円)になるとみられる。

クレディ・スイス危機で与信解禁案も

スイスの「大きすぎて潰せない」銀行はポストファイナンスの他、UBS、クレディ・スイス、ライファイゼン銀行、チューリヒ州立銀行の計5行。クレディ・スイスはUBSに買収されることが決まり、独立事業体としては年内に姿を消す。

FINMAは月内に5行の安全性に関する最新の年次報告書を発表する予定だ。ライファイゼンは今月6日、FINMAの審査に合格したと発表外部リンクした。

ポストファイナンスは株式の過半数を連邦政府が保有しているため、競争上の理由から住宅ローンや企業融資が禁じられている。連邦議会は昨年、これらを解禁する政府案を否決した。

だがクレディ・スイスの消滅を受けて、議会では解禁案が息を吹き返している。クレディ・スイスの国内リテール部門の一部をポストファイナンスに統合させることを提案する声もある。

英語からの翻訳:ムートゥ朋子

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

笑顔で握手を交わす閣僚

おすすめの記事

2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。

もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
健康保険カード

おすすめの記事

医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査

このコンテンツが公開されたのは、 大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。

もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
連邦工科大学の校舎

おすすめの記事

スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。

もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
ベツナウ原発

おすすめの記事

世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。

もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
アルコール検査

おすすめの記事

スイスのドライバー、2割が飲酒運転

このコンテンツが公開されたのは、 欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。

もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
銃口

おすすめの記事

狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部

このコンテンツが公開されたのは、 先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。

もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
サルコ

おすすめの記事

自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束

このコンテンツが公開されたのは、 今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。

もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
金塊

おすすめの記事

スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。

もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
ポイ捨てされた空き缶と小鳥

おすすめの記事

スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。

もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部