スイスの視点を10言語で

スイス、1日からロックダウンを段階的緩和

ダンス
青少年の文化イベントは、観客を入れなければ可能になる Keystone / Alexandra Wey

スイス連邦内閣は24日、新型コロナウイルスに伴うセミロックダウンの段階的緩和計画を正式に決定し、発表した。3月1日に小売店、美術館、屋外スポーツ施設を再開する。

当初計画では第二弾緩和を4月1日に行う予定だったが、州の意見を踏まえ、3月22日に前倒しした。

3月1日に再開するのは小売店、ショッピングセンター、美術館、博物館、図書館の閲覧エリア、動物園・植物園の屋外エリアなど。ただし小売店やショッピングセンターは人数制限を設け、マスクの着用を義務付ける。動物園、植物園なども人数制限、対人距離が取れない場合のマスク義務付けなどを設ける。映画館、カジノ、バー、ディスコ、ダンスホールはこれまで通り閉鎖する。観客を入れた文化イベントも禁止のまま。

屋外での集まりは、これまでの最大5人から同15人に引き上げる(子供も人数にカウントする)。ただし協会、自治体のイベントは禁止のまま。屋内での集まりは、これまで通り最大5人(同)とする。

再開する屋外スポーツ施設はテニスコート、ゴルフ場、アイススケート場、陸上競技場など。対人距離が取れればマスクの着用は必要ない。1グループの人数は最大15人とする。屋内フィットネスセンターは閉鎖のまま。サッカー、ホッケー、バスケットボール、格闘技など身体的接触を伴うスポーツは、成人は禁止する。

スポーツクラブの屋外でのチーム練習は原則禁止。最大15人まで、身体的接触なしであれば可能。大会も禁止する。

室内でのスポーツ・文化活動の制限措置を免除する年齢は、現行の16歳未満から20歳未満(2001年学期生まれ)に引き上げる。当初の計画では18歳未満とする予定だったが、さらに引き上げた。合唱やサッカー、屋内ホッケー、クライミングなども認められる。青少年対象の競技大会やコンサートは、無観客であれば開催可能。

おすすめの記事

在宅勤務の義務付けも第二弾緩和時まで維持する。

アラン・ベルセ内務相は24日の会見で「私たちはかなりのリスクを負う。だがそれは計算されたものだ」とし、今後の予測を十分考慮した上での措置だと強調した。

外食産業団体、保守系右派政党はバー、レストランの早期再開を訴えていたが、レストランのテラス席解禁は当初の計画通り、第二弾緩和で行うとした。州の意見聴取でも、早期再開に賛成した州は過半数を下回った。

おすすめの記事
レストラン

おすすめの記事

スイスの一部の州、レストランの休業継続に反発

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦内閣が発表した新型コロナウイルスに伴うセミロックダウンの段階的緩和計画に対し、グラウビュンデン州など一部の州が反発した。

もっと読む スイスの一部の州、レストランの休業継続に反発

第二弾緩和は19日に決定

ギー・パルムラン連邦大統領兼経済相は「感染力の高い亜種が広がり、引き続き警戒が必要」とする一方で、今回の「慎重かつ段階的な緩和」は、経済・社会的生活により多くの余地を与えるためだと述べた。

第二弾の緩和は▽陽性率は5%未満▽集中治療室のコロナ患者数が250床未満▽直近7日間の実効再生産数が1未満▽3月17日時点の直近2週間の新規感染者数が3月1日時点を下回ることが条件。来月12日に州への意見聴取を行い、19日に正式決定する。

パルムラン氏は「段階的な再開に皆が満足しているわけではないことは、十分理解している」とした。ただ感染例の増加を受け「現状を無視することはできない」と述べた。

ベルセ氏は状況が許せば緩和の前倒しも可能だとしたが、緩和を急いで第二波の拡大を許した昨年秋の経験を踏まえ「コントロールを失うような状況は避けたい」と述べた。

スイスの1日あたり新規感染者数は1343人、死亡者数は16人、入院者数は43人(24日時点)だった。国内の死亡者数は、昨年2月に初の死亡者が報告されてからのべ9256人となった。これまでに2万3300人を超える患者が新型コロナウイルス感染症で入院した。

おすすめの記事

最も読まれた記事
在外スイス人

世界の読者と意見交換

ニュース

笑顔で握手を交わす閣僚

おすすめの記事

2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。

もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
健康保険カード

おすすめの記事

医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査

このコンテンツが公開されたのは、 大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。

もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
連邦工科大学の校舎

おすすめの記事

スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。

もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
ベツナウ原発

おすすめの記事

世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。

もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
アルコール検査

おすすめの記事

スイスのドライバー、2割が飲酒運転

このコンテンツが公開されたのは、 欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。

もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
銃口

おすすめの記事

狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部

このコンテンツが公開されたのは、 先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。

もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
サルコ

おすすめの記事

自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束

このコンテンツが公開されたのは、 今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。

もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
金塊

おすすめの記事

スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。

もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
ポイ捨てされた空き缶と小鳥

おすすめの記事

スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。

もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部