© Keystone / Christian Beutler
スイスの原子力発電所から半径50キロ以内の住民に新たな安定ヨウ素剤が供給される。前回配布分の保存期限が近付いたためだ。今後数週間に配布を開始する。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦内閣が12日、安定ヨウ素剤1200万パックを購入したと発表外部リンクした。購入・配布にかかる予算は3400万フラン(約56億円)で、うち1100万フランを原発運営企業が負担する。来年4月までに配布を終える。
軍薬局は医薬品認可機関「スイスメディック(Swissmedic)」の認可を受けた唯一の政府機関として安定ヨウ素剤の製造、輸入、卸売、輸出を一括管理する。取得、保管、配布、廃棄にも責任を負う。
配布には連邦保健庁やスイス郵便も協力する。安定ヨウ素剤は最長10年間保存でき、その後は交換して適切に廃棄しなければならない。
錠剤は政府当局、国立緊急対策センター(NEOC)の指示があった時に限り服用できる。甲状腺内の放射性ヨウ素の蓄積を防ぎ、甲状腺がんを予防する。放射能が放出される重大な原子力事故が発生した時以外に服用の必要はない。
配布対象地域は減少
スイスには5基の原発があるが、解体中のミューレベルク原発の周辺地域(ベルン、ジュラ、フリブール、ヌーシャテル各州)住民は安定ヨウ素剤を配給されない。ミューレベルク原発が現在解体中で、ほとんどの住民は錠剤配給対象から外れたためだ。残るアールガウ州のベツナウ第1・第2原発及びライプシュタット原発、ゾロトゥルン州のゲスゲン原発の半径50キロメートル以内が配給対象になる。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
核の脅威の高まり スイスの備えは?
このコンテンツが公開されたのは、
ウクライナで戦争が激化する中、ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用をちらつかせ欧州の恐怖を煽っている。核の脅威には十分な備えがあるスイスだが、絶対安全とは言い切れない。
もっと読む 核の脅威の高まり スイスの備えは?
おすすめの記事
核シェルターで2日間、隣人27人と吠える犬と
このコンテンツが公開されたのは、
ミューレベルク原発で廃炉作業が始まった。スイス初の試みでもあり、核燃料が中間貯蔵施設に移される間に放射能漏れが全く起きないとは言い切れない。スイスで放射性物質が流出したことはないが、もし流出したとしたら――?
もっと読む 核シェルターで2日間、隣人27人と吠える犬と
おすすめの記事
スイス、安定ヨウ素剤配布範囲を50キロに拡大
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は今回、福島原発事故を受け、安定ヨウ素剤の配布基準を改定した。安定ヨウ素剤は、適切なタイミングで服用すれば、放射性ヨウ素が甲状腺に蓄積するのを防ぐ。連邦内務省保健局は、配布を原発50キロ圏内に拡大することで、…
もっと読む スイス、安定ヨウ素剤配布範囲を50キロに拡大
おすすめの記事
核の脅威 スイスはどう原子力時代に備えるのか?
このコンテンツが公開されたのは、
冷戦の時代、核の脅威に備え万全の措置を講じたスイス。1963年には、核攻撃を受けた場合に国民全員が避難できる核シェルターを用意する計画に着手した。翻って今日のスイスはどの程度備えができているのか。
もっと読む 核の脅威 スイスはどう原子力時代に備えるのか?
おすすめの記事
福島第一原発事故、安定ヨウ素剤の勝手な服用は危険
このコンテンツが公開されたのは、
また、WHOの広報担当グレゴリー・ハルツ氏は「当機関の健康面の判断からは、現在のところ東京への旅行は危険なものではない」と語った。 安定ヨウ素剤の服用 「安定ヨウ素剤は、被曝直前か直後に服用すれば効果があるが、それ以…
もっと読む 福島第一原発事故、安定ヨウ素剤の勝手な服用は危険
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。