スイスの視点を10言語で

スイス国営兵器製造会社、戦車25両をすでに売却済か スイス紙報道

tank
ルアグは4月、ウクライナへの間接的な武器供与を目的に、戦車96両を独企業へ再売却できるよう申請していた。スイス連邦内閣は6月、中立性を理由にこれを却下した Keystone / Morris Macmatzen / Pool

ドイツ語圏日刊紙ターゲスアンツァイガーは26日、スイスの国営武器製造会社ルアグ(RUAG)が、2019年に一部のドイツ製戦車「レオパルト1」を法外な値段でドイツ企業に再売却していたとする調査結果を明らかにした。

同紙外部リンクによると、ルアグは2016年にイタリアから1両4万5千ユーロで購入した「レオパルト1」100両のうち、25両を2019年に1両500フランという「ばかげた価格」で独企業グローバル・ロジスティクス・サポート(GLS)に売却していた。GLSが先週、北イタリアに保管されている25両の所有権をルアグに訴えたことで発覚した。

ルアグは4月、ウクライナへの間接的な武器供与を目的に、「レオパルト1」96両を独企業ラインメタルへ再売却できるよう申請していた。スイス連邦内閣は6月、中立性を理由にこれを却下した。

外部調査を開始

ルアグ取締役会は20日に臨時の取締役会を招集し、問題の調査に着手した。報告を受けた連邦国防局のヴィオラ・アムヘルト氏も21日、独立した外部機関による調査を命じた。

ファビアン・フィヴァ議員(緑の党)は仏語圏スイス公共放送RTSの取材に対し「ルアグはラインメタルと契約を結ぶと決めた時点で、すでに25両が売却されていたことを知らなかったことに一番驚いている」と語った。

オリヴィエ・フランセ議員(急進民主党)は「企業の管理体制に問題があるのは明らかで、これは取締役会にまで遡ることができる。こうした戦争兵器は一定のプロセスを経なければ販売できないからだ」とRTSに話した。

英語からの翻訳:大野瑠衣子


最も読まれた記事
在外スイス人

世界の読者と意見交換

ニュース

T字型リフトに乗る子ども

おすすめの記事

スキー初心者泣かせのT字型リフト 生誕から90年

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのスキー場で親しまれているT字型リフトが23日、東部ダボスの地で誕生から90年を迎えた。発明直後から急速に普及したが、現在ではベンチ型リフトへの転換が進む。

もっと読む スキー初心者泣かせのT字型リフト 生誕から90年
スイスとEUの国旗

おすすめの記事

スイスとEU、今後の二国間関係について合意

このコンテンツが公開されたのは、 スイスと欧州連合(EU)は20日、貿易や労働、人の移動自由などのルールを盛り込む二国間条約の締結に向けた交渉を完了したと発表した。

もっと読む スイスとEU、今後の二国間関係について合意
クレディ・スイスのロゴ

おすすめの記事

クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書

このコンテンツが公開されたのは、 クレディ・スイスが経営危機に陥った責任を追究するスイス連邦議会の調査委員会は20日発表した報告書で、原因は長年にわたる経営上の不始末にあったと結論付けた。

もっと読む クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書
笑顔で握手を交わす閣僚

おすすめの記事

2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。

もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
健康保険カード

おすすめの記事

医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査

このコンテンツが公開されたのは、 大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。

もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
連邦工科大学の校舎

おすすめの記事

スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。

もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
ベツナウ原発

おすすめの記事

世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。

もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部