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スイス、念願のG20に初参加

Keystone

15日と16日両日、ロシア・モスクワで主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。主催国ロシアにとっては、経済促進は最重要事項だ。スイスは今回初めて、4年間の待機期間を経て同会議に招待されることになった。

モスクワとの関係

 「スイスの金融システムは国際的に重要な影響を与えるものであり、スイス通貨の取引も頻繁に行われている。そのため、スイスがこれまでG20に深く関わってきたのは当然のことだ」と、連邦財務省国際金融問題局(SIF/SFI)のアン・セサー広報は強調する。「スイスは金融安定理事会(FSB)や国際通貨基金(IMF)に常に貢献してきた。今回G20に直接参加することで、貢献の度合いがさらに深まる」

 スイスがこれまで招待されなかった理由として、G20がこれまで非加盟国を除外してきたことがある。しかし、近年になってようやくその方針が変わり始めた。「今年の主催国であるロシアとスイスの関係は強まっており、両国は金融問題について2001年から建設的な対話を行っている」と、セサー広報は付け加える。

 G20に出席するスイス代表団を率いるのは、トマス・ヨルダン中銀総裁とエヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ財務相。同財相はこの会議で、国際金融システムにおけるスイスの影響力を高めたいとしている。

 スイスの課題は、銀行に対する規制基準の実施。特に銀行の自己資本率の引き上げを求めることだ。また、国の財政の健全化と経済成長の両立を図り、IWFの運営に貢献することも目標としている。

主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、グローバルな経済・金融問題について各国が協議・協力を行う重要な国際会議。

加盟国および加盟機構は以下の通り:アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、イギリス、アメリカ、欧州連合(EU)。

会議で決定されたことがきちんと実施されるよう、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、金融安定理事会(FSB)、経済協力開発機構(OECD)も参加。

近年の経済危機を受け、2008年秋から各国のトップが集まる主要20カ国・地域(G20サミット)首脳会議もこれと並行して開催。

G20の成功例としては、国際的な金融機関に対する新規制(バーゼル3)で大手銀行の自己資本率を引き上げたこと、また世界銀行における新興国の比重と発言権を強化したことが挙げられる。

根強い保護貿易

 経済成長と雇用の促進を最優先とするロシアは、多国間貿易の強化を中心とした戦略を提案している。また、保護貿易を緩和し、世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の活性化を目指す。ドーハ・ラウンドは2001年の開始当初から世界貿易の自由化を目指しているが、目標はまだ達成されていない。

 実際、貿易自由化への道は険しい。政策監視機関グローバル・トレード・アラート(Global Trade Alert)の2012年報告書によると、2009年に世界で行われている保護貿易措置の60%はG20加盟国によるもので、2012年にはその割合が79%にまで増加したという。

 同報告書を共同執筆したザンクト・ガレン大学のシモン・エヴネ教授はこう説明する。「保護貿易主義は批判されているが、政治的には有効な手段。そのため、目標と現実がなかなか一致しない」

FSBの役割

 G20は自由貿易の促進以外にも、透明度が高く安定した金融システムの構築を目標に掲げる。そのためには、国際金融の安定化を目指すFSB(所在地バーゼル)の強化が不可欠とされる。

 FSBは1999年、主要7カ国・地域(G7)財務相・中央銀行総裁会議で設立された国際フォーラム。つい先日、スイスの国内法に基づき協会として発足した。

 FSBのスヴェイン・アンデルセン事務局長によれば、FSBは今回のG20で金融改革の進展具合について情報を集め、デリバティブ(金融派生商品)市場が今後の金融危機を引き起こさないかどうかを観察する。また、UBSやクレディ・スイス(Crédit Suisse)などの大手銀行に関わる問題も分析するという。

スイスは2009年春、租税回避地の国々を記載した経済協力開発機構(OECD)のブラックリストに自国が載せられていると知る。

その直後、スイス政府は銀行の秘密主義を緩め、他国との協力を強化し、OECDが租税条約に関して定めた12項目の指針を受け入れることを決定。

G20はこの決定を歓迎したが、スイスはブラックリストに記載されたままだった。その後、スイスの当時のハンス・ルドルフ・メルツ財相はG20への参加希望を公式発表した。

それから4年後の2013年、ようやくスイスはG20から招待を受ける。しかし、2014年も招待があるかは未定。

過大な権力?

 G20の権力について、参加国の意見は分かれている。G20の加盟国は、加盟国全体の経済力が世界全体の国民総生産の9割を占めるため、加盟国が優先的な立場にあることは妥当だとしている。

 一方スイスなどの非加盟国は、このような非公式な会合にこれほどの権力が集中することに不満を募らせている。2009年、当時のスイスのハンス・ルドルフ・メルツ財相は国連総会でG20を「正当性と透明性に欠けている」と批判した。

 先月開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、ドミトリー・メドヴェージェフ露首相は「メアクルパ(Mea Culpa、私の責任の意)」と言い、今後の改革をほのめかしながらこう語った。

 「G20加盟国出身でない私の同僚が、心配事を口にすることがたまにある。自国とその国民経済が世界の発展とグローバル経済に多大な影響を与えているのに、(こうした国際会議に)参加できていないというのだ。こうした点において、G20はかなり古い体質の会議であり、(非加盟国との間に)はっきりした境界線は引くべきではないということは我々は重々承知している」

議長国はオーストラリア

 今回をきっかけに、スイスとG20との関係は新展開を迎えるのだろうか。それとも、今年末で両者の関係は終わりを迎えるのだろうか?その答えは、2014年のG20主催国であるオーストラリアが持っている。

 前出のセサー広報は楽観的にこう話す。「スイスとオーストラリアは定期的に金融問題について話し合ってきた。そのため、来年主催国を務めるオーストラリアの優先事項について、スイスは議論できる立場にある」

(独語からの翻訳・編集 鹿島田芙美)

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