The snow of Davos will be replaced by the tropical climate of Singapore for WEF next year.
© Keystone / Christian Beutler
新型コロナウイルスの世界的流行を踏まえ、世界経済フォーラム(WEF)は2021年の年次総会(ダボス会議)をシンガポールで開催すると決めた。スイス国外で開催されるのは1971年の創立以来2回目で、ダボスにとっては大きな打撃となりそうだ。
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WEFは7日、来年予定されている第51回総会を5月13~16日、シンガポールで開催すると発表した。2022年は再びダボスで開催する予定という。
ただ当初の開催予定日の来年1月25~29日には、「ダボスアジェンダ」と題したオンラインイベントを開催する。
コロナ流行を受け、2021年ダボス会議は形式や日程、会場を巡り揺れてきた。WEFが8月に例年通りの1月開催が難しいとの認識を示し、9月にはルツェルン湖そばのビュルゲンシュトック(ニトヴァルデン準州)、ルガーノ(ティチーノ州)など国内の別の都市での開催も噂された。規模の縮小やオンライン化も検討された。
ダボス会議がスイス国外で開かれたのは2002年のニューヨーク会議以来だ。前年に米同時多発テロ事件で大きな被害を受けた同市への連帯を示すため、この地が選ばれた。
観光業界は落胆
ダボス会議は例年、ダボスやスイス全体に数千万フランのお金を落とす一大イベントだ。経済界の要人や富裕層が集まるこの時期に、ダボスのホテルやレストランの多くは年間売り上げの大半を稼いでいる。
スイス連邦議員らは3日、ギー・パルムラン経済相宛ての書簡で、ダボス会議がスイスで開催されなければ何百人もの失業者が出ると警告。ダボス会議が今日のように成長したのはスイスの協力があってこそであり、WEFがスイスに背を向けるのは理解できない、と訴えた。
代替候補地だったルツェルン・ニトヴァルデン準州はすでに数週間前から開催に向けた準備を始めており、WEFの知らせに落胆を隠さない。ルツェルン観光局のマルセル・ペレン局長は7日、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)のインタビュー外部リンクで「約5千人を呼び込めるはずだった」とし、特にコロナで客不足にあえぐホテル業界には痛手だと悔しがった。
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世界経済フォーラム(WEF)主催の年次総会(ダボス会議)に集まる世界の指導者たちは不安な時期を迎えている。英国や米国、イタリアの有権者たちが、中間層が抱える支配階級への不満を浮き彫りにしたためだ。
今日17日に開幕を迎えたダボス会議。各国から政財界の要人がダボスに集まる中、フランソワ・オランド仏大統領、アンゲラ・メルケル独首相、カナダのジャスティン・トルドー首相をはじめとする複数のトップは、ダボス会議への参加を控え国内に残る決断を下した。オランダ、ドイツ、フランスの選挙が迫っているためだ。
生活水準が高く、豊かで政局が安定しているスイスでさえ、最近は政治的に二極化の傾向がみられ、国民投票で保守的な結果が出たりしている。
WEFは「即応し、責任あるリーダーシップ」を今年の会議のスローガンに採用。WEFの創設者、クラウス・シュワブ会長は会議に先立ち、指導者は「耳を傾け、指導者に信任を与えた人々と相互に対話しなければならない」と語った。「だが聞くだけでは十分ではない。行動し、対応し、世界の地位を向上させるために決断する勇気を持たねばならない」
最後にシュワブ氏は「世界が昨年にも増してこのメッセージを聞き入れてくれることを期待する」と付け加えた。
スイスの政治学者でスイス内外の顧客に幅広く助言するルイス・ペロン氏は、国際社会が大きく変動し、就業や移民、社会福祉の将来に対して人々の抱える不安が膨らむのに対し、西側諸国の特権階級がうまく対応できなかった代償を支払っていると指摘する。
「人々はエリートが自分たちを理解せず、発言を修正する代わりに同じ内容をより大きく繰り返すだけだ、と不満を持っている」と同氏はスイスインフォに語った。「そのため人々の需要と政治家からの供給に齟齬(そご)が生じ、人々は何らかの変化を期待して投票するようになった」
「選挙や国民投票におけるキャンペーンは、果たして何に対して票を投じるのか、論点設定をめぐる闘争となっている。支配者側がこの闘争に敗北することが圧倒的に多くなってきた」。指導者たちがいったんこうした闘争に負けると、失った地位を取り戻すのは至難の業だと同氏は指摘する。
スイスの国民投票
英国有権者が欧州連合(EU)離脱を決め、米国ではクリントン体制が拒否され強硬的なアウトサイダー、ドナルド・トランプ氏が選ばれたことは、ともに既存の統率システムに対する不満の広がりを物語っている。
スイスにおいても、有権者たちは不満を抱えている。ここ数年、スイスでは国民投票で既成概念を覆すような結果がいくつもあった。最低賃金、中央銀行の金融政策や公共サービスの運営の変革を求めたこともあった。
超富裕層や止まらない移民流入を狙い撃ちした国民投票が実施されたことは、否決はされたものの政治家や企業経営者たちの悩みの種となった。スイス経済界は、政治家と有権者の双方に通じていなければならなくなった。
スイス金融大手UBSは昨年11月のリポートで、有権者の不満は中間層を中心に勢いづいていると指摘した。うっすらと認識されてきたこの現象は、西側諸国ではより顕著になった。新興国では中間層がさらに拡大し豊かになっているという。
一方でUBS銀行は、スイスの中間層は欧州のなかで特殊な存在だと主張する。スイス政府は低所得者層を税制や補助金で優遇することで、格差拡大を和らげることに成功しているとする。
加えて、スイスの強固な徒弟制度やリベラルな労働市場が雇用創出に役立っているとも指摘した。
憤慨する労組
しかしスイス労働組合連合(SGB/USS)はこうしたバラ色の分析に同意を示さない。昨年発表した意見書では、低・中間所得者層は健康保険料の値上がりで高所得者層に比べ大きな打撃を受けていると批判した。
さらに富裕層が引退後に投資で資産を増やすことができるのに対し、低所得者層は支給額の減りゆく年金に頼らざるをえない。
連合は左派系の政治家とともに、スイスの法人税制改革を問う来月の国民投票で反対票を投じるよう国民をけしかけている。スイスの国際企業を国内に維持するためのコストを中間所得者層に押し付ける改革案だ、と当事者に直接訴えかけている。
ペロン氏は、国民投票の結果がどうであれ、スイスの有権者は基本的には周辺国に比べ秩序ある行動をとるとみる。
同氏は「スイス国民は憤りや自己利益のみを重んじて投票するのではなく、公共の利益を踏まえて賛否を決める傾向がある」と話す。「政府の推奨通りに投票することが多いのはそのためだ」という。
「大半の諸外国の有権者はスイスのように異議を唱える機会に恵まれていないがゆえに、選挙で極端な結果になりやすい」
ダボス会議に出席する指導者たちは、開催期間の17~20日の間、こうした極端な結末を避けるための処方箋を議論する。世界経済フォーラム ダボス会議2017
第47回となる世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)は1月17~20日に開かれる。世界中の政治、経済、市民社会、宗教、科学、学術、芸術の各分野から3千人という記録的な数の代表者が集まる。
中国の習近平国家主席は大規模な代表団とともに、中国の政府トップとして初めてダボス会議に出席する。その他有力者たちのなかにはテレサ・メイ英首相、ジョー・バイデン米副大統領、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド理事長、赤十字国際委員会(ICRC)のピーター・マウラー総裁、国連のアントニオ・グテーレス事務総長などがいる。
1400社からおよそ千人の企業経営者も出席する。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏、フェイスブックの最高執行責任者(COO)シェリル・サンドバーク氏、中国のネット通販最大手アリババの創業者ジャック・マー氏などだ。
総会では環境問題やイラク・シリア内戦、ジェンダー、教育や健康など、非政治的または経済的なテーマにも焦点を当てる。
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(写真:Jules Spinatsch 文:Peter Siegenthaler、swissinfo.ch)
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