スイスアルプスで、最もお得な料金で最も長いコースを滑れるスキー場はどこ?スイスインフォが各スキー場の料金と滑走距離を分析したところ、マッターホルンのお膝元のツェルマットなどは料金が割高だが、それにはわけがあることを突き止めた。
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国外のスキー客も多いツェルマット外部リンクのスキー場では、1日リフト券の料金が79フラン(約9100円)。下記のグラフを見ると、この料金に匹敵するスキー場はごくわずかだ。スイス南東部のグラウビュンデン州にあるツォーツ外部リンクのスキー場だと1日券は56フラン。ただ、ツェルマットでは追加料金13フランを払えば360キロのコースを利用できるが、ツォーツは15キロだ。
グラフの左下には1日20~40フランで滑れるスキー場が並ぶが、大半が標高1500メートル未満に位置し、常に積雪が十分とはいえない。
また、標高が最も低い地域のスキー場は営業日がまちまち。もっぱら地元住民向けの施設で、インフラや宿泊施設も整っていない。
データは欧米諸国のスキー場149カ所の積雪情報などを常時更新するウェブサイト「オン・ザ・スノー外部リンク」を元にした。下記のグラフから、1日リフト券の価格とスキー場の標高との間に密接な相関関係があることが分かる。
標高が上がるほど、1日リフト券の価格は高くなる。だが、標高が上がれば雪質が良くなるだけでなく、バラエティーに富んだ距離の長いコースに恵まれる機会が増える。
では、最もお得な料金で一番長いコースを利用できるスキー場は?例えばスイスとフランスとの国境にまたがるスキー場ポルト・デュ・ソレイユ外部リンクは、61フランの1日リフト券を買えば650キロのコースが利用できる。1フランで約11キロのコースを滑れる計算だ。
一方、グラフの反対側にあるグラウビュンデン州のラ・プント外部リンクの1日リフト券は提携ホテルに宿泊すると38フラン。ポルト・デュ・ソレイユのほぼ半額だが、リフトは一つだけでコースは1キロ。1フラン当たりの滑走距離は30メートルしかない。
選択肢が多いのはもちろん嬉しいが、何百キロもの距離をたった1日で滑り切るのは無理がある。休暇でスイスに来るスキーヤーは、2日券や7日券の購入、あるいは地域内の複数のスキー場が利用できるリフト券を勧められることだろう。
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(英語からの翻訳・江藤真理)
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コンスタンタン氏は、建設・不動産業界で名を馳せた人物だが、サッカーの大ファンでもあり、スイス・サッカークラブチーム「FCシオン」の会長を03年から務めている。
「優れた構想に事欠くことがない」と評判のコンスタンタン氏は、シオン五輪を普通のオリンピックにするつもりはない。シオン市近くの自治体コロンベイ・ミュラ(Collombey-Muraz)にある製油所跡地を除染し、そこをオリンピック村と持続可能性の高い未来の自治体にしていくつもりだ。また、実際の開催にあたっては、 ベルン、フリブール州など、他の四つの州が競技場を提供することになる。
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フラン高、雪不足、ウィンタースポーツ離れ…。スイスのスキー場経営は、相次ぐ悪材料に苦戦を強いられている。ところが経営陣は、スキーに代わる新たなアクティビティを開拓するよりも、スキーリフトなど高額のインフラ整備に依然として力を入れている。持続可能な観光に詳しい、ローザンヌ大学のクリストフ・クリヴァ教授に話を聞いた。
ルツェルン応用科学芸術大学がまとめた「スイスにおけるリフト業界の経営状況(2013・14年版)」によると、スイス国内のリフト運営会社のうち3分の2が助成金頼りの経営を余儀なくされている。
その原因の一つが暖冬による影響。特に標高の低いスキー場にとって深刻だ。また、スキー人口の減少に加え外国との競合もある。スイスの物価高に辟易(へきえき)した観光客が近隣諸国のスキーリゾートに流れているのだ。
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