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スイス企業、香港のデモ運動を注視 時計業界には打撃

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6月初めに始まった香港のデモ運動は激しさを増し、今週は機動隊と衝突。主要交通路がマヒした Keystone / Miguel Candela

香港のデモ活動で店舗の閉鎖や空路の混乱が長引き、世界中が事態の成り行きを注視している。スイス企業はビジネスへの悪影響を警戒しつつも、状況を静観している。

香港経済はこの数カ月停滞しているが、直近の混乱による対外的な影響は今のところ目立たない。

スイスを拠点とする中国人実業家のサリー・ヤン氏は今週初め、香港国際空港を経由する際にピンクの服を身にまとい、闘争のどちらにも属していないことをアピールした。「白や黒を着てどちらかの味方だと混乱を招きたくなかった」と振り返る。

6月初めに始まったデモは次第に激化し、今週には抗議者が機動隊と衝突。交通がマヒした。日米オーストラリアなど5カ国以上の主な貿易相手国は、香港への渡航者に注意喚起した。

スイス政府外部リンクも、中国への渡航者に香港のデモを避けるよう推奨している。

スイス企業にとって、香港は中国市場に繋がる重要な拠点だ。スイス政府の貿易統計外部リンクによると、スイスの対中国輸出は290億フラン(約3兆2千億円)で、うち150億フランは人口800万人弱の香港当てだ。

香港出身のローザンヌ・IMDビジネススクールのハワード・ユー教授は、スイスインフォに「抗議運動を巡る混乱は投資家の信用にもろに打撃を与えている」と語った。だが同地域から撤退する企業の話は聞いたことがないという。

スイス最大の銀行UBS(本社・チューリヒ)は、従業員に状況を注意深く監視し、危険にさらされないように適切な決定を下すよう指示する社内文書を発した。

UBS香港の広報マーク・パンデイ氏は、スイスインフォに「従業員の安全が第一だ」と話した。UBSは通常通り操業しているが、「従業員に柔軟な業務対応を促している」という。

産業への影響

抗議運動は、景気後退期にあった香港を直撃した。4~6月の経済成長率は0.6%に落ち込み、市場予想の2.4%を大きく下回った。香港のポール・チャン財務長官は5日、「香港経済は非常に困難な状況に直面している」と語った。6月の小売売上高は前年同月比で6.7%落ち込んだ。

スイス企業も苦戦した。フランス語圏の日刊紙ル・タン外部リンクは、この数カ月時計の輸出額が急落したと報じた。米中貿易戦争や他の要素も背景にあるが、記事では複数の企業がデモの収益への影響を訴えており、時計業界のダメージは特に大きくなると指摘した。

中国本土の消費者の多くは香港に出向いてスイスの時計を購入する。かつて中国政府に対する抗議活動を受けて、本土から香港への旅行者が一時減少した。再発すれば、スイス時計メーカーが打撃を受けるのは必至だ。

スイス製の時計外部リンクは昨年、香港だけで30億フランを売り上げた。中国本土は17億フランだ。ところがスイスセンター中国外部リンクによると、今年6月のスイスから香港への輸出額は前年同月に比べ27%減少した。

ル・タンによると、スウォッチが一部の地域で一時的に店舗を占めたことが、2ケタ台の輸出減外部リンクの一因となった。

ヤン氏は多くの中国・外国企業にとって経営リスクとして香港が占める地位は低いと語る。だが今の状況では、香港でウェルスマネジメントを手がける企業や香港に進出しようとしていた企業は、代わりにスイスやシンガポールに拠点を移すことを検討しているとみる。

ヤン氏は今週初めに香港空港に到着した際、デモ参加者が市内中心部への鉄道を封鎖する現場に出くわした。市街地で1泊した後、身の安全のために別のホテルに宿を変えた。

ヤンは中国本土出身だが香港で進学した。現在はスイスと中国の市場コンサルタントで、ツーク州で活動している。

「香港は非常に平和で企業に優しい土地として知られている。地元住民も、不確実性の高い土地だと思われるのを避けたがっている」(ヤン氏)

(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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