スイスの食品大手ネスレは、健康に資する食品・飲料のメーカーのランキングで首位を維持した。だが実際に健康的であると評価されたのは、同社製品の29%にすぎない。
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栄養アクセスイニシアチブ(ATNI)は先月、第4回グローバル栄養アクセスインデックス外部リンクを発表した。世界の大手食品・飲料メーカー25社の栄養価向上に関する取り組みの指標で、商品ポートフォリオ、ラベリング、ガバナンス(企業統治)、マーケティング、アクセシビリティー(入手可能性)、従業員の生活習慣、エンゲージメント(対話)の7つのカテゴリーを評価する。ネスレは前回2018年に続きトップに立ち、2位はユニリーバだった。日本企業では明治が12位、味の素が14位、サントリーが21位だった。
ネスレはプレスリリースで「首位に立ったのは、栄養と健康、そして肥満と栄養失調という世界的な課題への長年の取り組みが認められたということだ」と述べた。
だがネスレの成績を詳しく見ると、その評価と現実には隔たりがあるようにも見える。インデックスではネスレが世界各国で販売した製品2760品を調査したが、「健康的」と評価されたのはその29%にとどまる。「健康的」との分類には、オーストラリアやニュージーランドで消費者が食品を選定するのに役立つよう採用されているヘルススターレーティング(HSR)で、5点満点中3.5点以上を獲得する必要がある。
3.5点を得られるのは100グラム当たり1020キロジュール(約243キロカロリー)、脂質1グラム、糖分2.1グラム、ナトリウム645ミリグラム未満で、食物繊維が8グラム以上の製品だ。ネスレ製品の71%はこの要件を満たしていなかった。
ネスレの成績が競合他社より優れているのは、製品の栄養価を改善する努力だけではない。選択した8カ国での製品のHSRスコア中央値が今回2.7と、前回の1.8から改善したのも要因の1つだ。
ANTIはウェブサイトで、「メキシコのアイスクリーム、米国のアイス・製菓などあまり健康的でない事業の切り離しが改善の主な理由になったとみられる」と説明している。
また朝食用シリアルや乳製品、ソース、ドレッシング、調味料など、ネスレの主力製品のHSRは、他社の同じカテゴリーの製品の平均よりも評価が低かった。
ネスレの説明
ネスレの広報はswissinfo.chに対し次のように説明した。「製品の種類数ではなく売上ベースでみると、『健康的』な製品の割合は43%になる。これは消費者の志向やネスレの重点分野を示す重要な物差しだ」
またネスレの製品ラインナップはランキング内の他社に比べ幅広く、健康的になりにくい菓子など贅沢な食品も含んでいることを背景に挙げた。乳児用食品や純コーヒーなどはHSRの対象でないため、ネスレ製品の半分近くはインデックスの評価に含まれていないこともある。
フィナンシャル・タイムズ紙は5月、ネスレ幹部が主力製品の6割が健康的とは言えず、今後も健康的になることはないとの見方を示したと報じ、話題を呼んだ。HSRで3.5点以上を満たすのは全製品の37%だという。
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