昔ながらの屋台料理として人気のカレーソーセージ(カリーヴルスト)がデジタル世界に仲間入りした。スイス国内の店舗では、仮想通貨ビットコインで買えるようになったのだ。
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カレーソーセージのレストランを経営する「ヴルスト&モリッツ(Wurst&Moritz)外部リンク」は、苦労して獲得したビットコインを支払いに使いたいという顧客の要望に応え、チューリヒとベルンの店舗でビットコイン決済を始めた。ビットコインは現在1通貨約5000ドル(54万4千円)。カレーソーセージは一つ8フラン(約900円)だから、0.0019ビットコインになる。
「スイス国内のビットコインユーザー数は転換点に達している。だからユーザーのニーズにいち早く応えることを決めた。逆戻りはできない。我々はビットコインで行く」とヴルスト&モリッツのサミュエル・マンツ社長は意気込む。
ビットコイン決済を始めた初日、実際に「一握りの」ソーセージがビットコインで買われ、マンツ社長は手ごたえを感じたという。
マンツ社長によると、決済方法の構築と同様、変動の激しいビットコインとスイスフランのレートを扱うのは驚くほど簡単だった。
「利用者が必要なのはビットコインの保有・管理に使うビットコインウォレットと専用アプリだけ。ビットコインの価格を出して、売るまでに何秒もかからない。技術的な専門家は必要ない。1年前までは考えられなかったが、今は本当に簡単だ」
ビットコイン取引は活発に?
実際、ビットコイン決済を始めた店舗は国内に山ほどある。レストラン、美術、歯科、時計、ビジネスコンサルタント、ITのほか、ツーク州の行政システムでもビットコインが使用可能だ。
今夏初め、イタリア語圏のティチーノ州で、ある不動産所有者が別荘をビットコインで売りに出した。スイスの金融当局はビットコインを正式な決済手段として認めているため、100%合法だ。
仮想通貨が熱狂の度合いを増す一方で、スイスビットコイン協会によると、ビットコインの個人取引は国内でほとんど登録がない。大半のビットコイン所有者は、ビットコインやイーサリアム、ライトコインなどの仮想通貨を確実な投資対象ととらえ、貯蓄して(願わくば)価値が上がるのを眺めているにすぎない。
このため保守的なスイスがビットコイン取引で世界に先行する日本に追いつくには、まだ時間がかかりそうだ。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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