交流サイト世界大手のフェイスブックが仮想通貨プロジェクトを担う子会社「リブラ・ネットワークス」をスイス・ジュネーブに設立した。なぜジュネーブが拠点に選ばれたのか。
このコンテンツが公開されたのは、
リブラは2日付でジュネーブ州の登記簿に記載された。分散型台帳技術(DLT)を使って法定通貨に裏打ちされた新しい電子通貨を開発し、より速く費用効率の良い決済手段を目指すと報じられている外部リンク。
ジュネーブ州のピエール・モーデ経済開発担当相はswissinfo.chの取材に対し、「フェイスブックがジュネーブに会社を立ち上げて新しい金融技術を模索するという選択に胸が躍る思いだ。近い将来に同社と協力関係を築くのを楽しみにしている」と語った。事業誘致のためにジュネーブ当局が動いたかどうかは明かさなかった。
おすすめの記事
おすすめの記事
ビットコインとブロックチェーンを支える技術
このコンテンツが公開されたのは、
ただのたわ言か、あるいは、およそ全ての価値あるモノの取引方法を変える革命的な技術か。
分散型台帳技術(DLT)とは一体何か。どのような仕組みで、誰が利益を得るのか。この動画ではフィクションと事実を分け、熱狂の先にあるものを見ていく。
もっと読む ビットコインとブロックチェーンを支える技術
スイス商業登記簿外部リンクによると、リブラは「金融と技術の分野におけるサービス業」と、関連するソフトウェア・インフラの開発・製造を目的とする。特に投資活動や決済、資金調達、ID・パスワード管理、データ分析、ビッグデータ、ブロックチェーンやその他の技術が対象だ。
なぜジュネーブ?
リブラは米国のほかにイスラエルのテルアビブに拠点を置く。次なる拠点にジュネーブを選んだのはなぜか。
「仮想国家」を目指すスイスにはBityやTaurusなど仮想通貨企業のほか、不動産や商品取引などにブロックチェーンを活用する企業が数多くある。ジュネーブも規制のガイドラインを作るなど暗号資産企業立ち上げの側面支援に力を入れている。商業登記などの役所業務をブロックチェーン技術に転換する道も検討している。
連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)もブロックチェーンに注力している。「我々の野心は世界のブロックチェーンの主要ハブになることだ」(モーデ氏)。
「この新しい技術は、より広く受け入れられるにはまだ解決すべき問題点がいくつもある。セキュリティーや気密性、ガバナンスの問題をまず解決していきたいと考えている」
スイスの進歩
ジュネーブとのもう一つの繋がりはリブラのトップを務めるダヴィッド・マークス氏だ。ジュネーブに育ち、ジュネーブ大学に進学した1年後、二つの会社を起業し、米国に移住した。
ジュネーブのビジネススクールCREA外部リンクのインタビューで、マークス氏はジュネーブに住んでいたころに比べスイスが大きく進歩したと語った。
「国が暗号資産を推進する立場を示していることなど、励みとなる兆候はいくつかある。スイスはこの新技術に基づいた解決策を開発したい企業にとって、ヨーロッパの灯火になろうとしている。これまで見たことのないようなオープンさと進歩を見せている」
おすすめの記事
おすすめの記事
ブロックチェーンが変えるスイスのビジネス
このコンテンツが公開されたのは、
ブロックチェーン技術が初めて登場した2008年、データの管理ややり取りに革命が起きると期待された。技術のビジネス化に10年の時を要したが、ようやく活用事例が現れ始めた。その舞台はスイスだ。
もっと読む ブロックチェーンが変えるスイスのビジネス
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
続きを読む
おすすめの記事
仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ツーク州にはフィンテック関連企業が多く進出し、「クリプトバレー(暗号の谷)」と呼ばれている。各国当局が暗号(仮想)通貨ビジネスの振興と規制の間で揺れるなか、両者のバランスを取りながらクリプトバレーの成功に賭けるスイスの姿勢は注目に値する。
もっと読む 仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
おすすめの記事
スイス最大のネット通販サイト 仮想通貨決済を導入
このコンテンツが公開されたのは、
スイス最大のネット通販企業ディジテック・ギャラクサス(Digitec Galaxus)が19日から、オンラインショップでの仮想通貨決済を導入した。同社は昨年、10億フラン(約1100億円)の売上高を記録した国内最大の小売企業。仮想通貨の受け入れを決めた小売企業の中では最大となる。
もっと読む スイス最大のネット通販サイト 仮想通貨決済を導入
おすすめの記事
スイスの仮想通貨企業、投資顧問業の許可を取得 スイス初
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融業を監督する連邦金融市場監査局(FINMA)は9日、スイスの仮想通貨企業クリプト・ファンド (本社・チューリヒ)に投資顧問業の許可を与えた。仮想資産の投資顧問業が公認されるのはスイスで初めて。
もっと読む スイスの仮想通貨企業、投資顧問業の許可を取得 スイス初
おすすめの記事
ジュリアス・ベア、仮想通貨企業SEBAと提携
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのプライベートバンク、ジュリアス・ベア(本社・チューリヒ)は、仮想通貨の新興企業SEBA(本社・ツーク)と提携すると発表した。
もっと読む ジュリアス・ベア、仮想通貨企業SEBAと提携
おすすめの記事
スイス証券取引所が暗号資産時代に焦点を合わせるわけ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所が仮想通貨など暗号資産取引へのシフトアップを図っている。時代を先取るこの波に乗ろうとしている取引プラットフォームは数多い。その背景を探ってみた。
もっと読む スイス証券取引所が暗号資産時代に焦点を合わせるわけ
おすすめの記事
ブロックチェーン企業がスイスで銀行口座を開くには
このコンテンツが公開されたのは、
スイス銀行協会(SBA)にブロックチェーン業界から批判が集まり出した。同協会はその対処として、仮想通貨で取引を行っている企業に銀行口座の開設方法を示すガイドラインを発行した。形態の異なるこの2つの金融業界の関係は不安定だ。そんな状況を象徴している企業がある。
もっと読む ブロックチェーン企業がスイスで銀行口座を開くには
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。