スイス国立銀行(スイス中銀)が31日発表した中間決算によると、7~9月期は325億フラン(3兆6900億円)の黒字と、同期では過去最高だった。フランが幅広い通貨に対して下落し、保有する外貨の価値が上がったことが主な要因。各国株価が堅調で投資家心理が良好な地合いが続き、金など他の資産価格も上昇した。
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2016年からスイス在住。17年にswissinfo.ch入社。日本経済新聞社で8年間記者を務めた。関心テーマは経済、財政、金融政策、金融市場。
スイス中銀は外貨建て資産を主にユーロや米ドル、日本円、英ポンド、カナダドルで運用している。フランは7月初から9月末にかけ、対ユーロで4.3%、対英ポンドで3.7%、対カナダドルで4.7%それぞれ下落。約302億フランの黒字要因となった。
金の保有量は増減なく1040トンだったが、価格が約5%上昇し19億フランの黒字。通常、金はフランと同様「安全資産」とされ、投資家心理が良くフランが売られる場面では金価格も下がる傾向がある。7~9月はフランが下落する一方で金価格が上がる珍しい状況となり、中銀にとって追い風となった。
スイス中銀は年末時点の剰余金の3分の1を連邦政府に、3分の2を各州政府に納付する。中銀は31日の声明で、資産価格が金や外国為替、株式相場に強く依存しているとし、今後の見通しについて「通常は大きな変動があり、年間でも(黒字の)結果を出すとは限らない」と強調した。
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スイス中銀、2016年は240億フランの黒字
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大きな黒字となったのは、典型的な安全通貨であるスイスフランの上昇を抑えるための外貨資産が主な要因だ。昨年は他通貨、特に米ドルが上昇したため、スイス中銀の持ち高が膨らんだ。
スイス中銀は主に、ユーロやドルを買ってフランの高騰を抑えており、10日の公表文で、外貨資産による収益は190億フラン以上にのぼったと明らかにした。
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投機筋が期待したスイス中銀の金保有拡大案、否決
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スイスでは30日、国民投票が行われ、スイス中銀の金保有量拡大案は77.3%の反対で否決された。金相場の押し上げになると世界中から注目を浴びていたが、有権者の支持は集まらなかった。環境団体による移民規制案と、一括税廃止案の是非も問われたが、両案とも反対過半数で否決となった。
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1人当たりの金保有量トップのスイス なぜもっと必要?
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