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マスクを外したヒーローたち

ピエトロ・ファーレ、医療部長
Valeriano Di Domenico

スイスの写真家ヴァレリアーノ・ディ・ドメニコが、新型コロナウイルス危機下で医療の最前線に立つ人たちの、マスクの下の素顔をカメラに収めた。彼らの経験談も紹介している。

2020年春に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第1波が広がった時、ディ・ドメニコはティチーノ州ロカルノにある地域病院のルポルタージュを作るよう依頼された。そこで目にしたものに心を突き動かされたディ・ドミニコは、のちに同じ病院を再訪し、被写体に話も聞いた。その後、病院の近くで開いた作品展では、危機を生きる看護師たちの素顔と当時の経験談を紹介している。

セリーナ・マドリガリ、集中治療部の看護師

看護師
Valeriano Di Domenico

「いつもは上機嫌な同僚の表情が見えづらかった。あの心配そうな目…。患者全員が到着したのを見るのはつらかったし、彼らに挿管し、その準備をする作業も一苦労だった。何よりも、今後のことを聞かされた患者たちの反応が…」

麻酔科の主任医師、ニコラ・クレリッチ

看護師
Valeriano Di Domenico

「これは無理だ、と思った時があった。あれだけの受け入れ数がその後も続いていたら、切り抜けられなかっただろう。私たちはすでに、州のリソースを使い果たしていたから」

パオラ・ガレアッツィ、集中治療部の看護師

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「私はルガーノの地域病院から来た。その前に、ここロカルノの状況は聞いていた。でも、挿管された患者を実際に目の当たりにすると話は別だ。私は患者2人を割り当てられ、仕事にとりかかった。患者の数、同僚の数、そして絶え間ない騒音にとても驚いた」

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リカルド・ダ・グラカ・ガメイロ、看護師

看護師
Valeriano Di Domenico

「私は救急科で働いている。初め、あまりに大勢の患者が運び込まれ、さばききれないほどだった。また、集中治療室のスペースを増やすため、病棟全体を病院の建物の外に移さなければならなかった。国民の連帯は本当に信じられないほど強く、支えになった」

ラファエラ・ゲンティリーニ、集中治療部の看護師

ラファエラ・ゲンティリーニ、集中治療部の看護師
Valeriano Di Domenico

「3月9日、4日間の休暇を終えて病院に戻ったとき、私を待っていたのは全くの別世界だった。スタッフの数は少ないのに、挿管と集中治療ベッドが必要な患者がひっきりなしに運び込まれてくる。ほかの病院からの支援が来るまでは、あらゆることが本当に大変だった」

ピエトロ・ファーレ、医療部長

ピエトロ・ファーレ、医療部長
Valeriano Di Domenico

「ある日、私は死期が迫る女性の部屋に入った。彼女に、教皇の抱擁をあなたに届けると言った。教皇がその前日、年配の人に身をもって優しさを示すように、と言っていたから。彼女の顔がぱっと輝いて、私をそっと撫でてくれた。『私の息子のよう』と言って。心が動かされた瞬間だった」

ラウラ・オスティネッリ、集中治療部の看護師

看護師
Valeriano Di Domenico

「メンドリージオからロカルノに到着したのは夜だった。ここで起きうることに考えをめぐらせた。でも現実は全く異なり、非常にショッキングだった」


Valeriano Di Domenico外部リンク :チューリヒ在住のフリーランス・フォトグラファー。

(独語からの翻訳・宇田薫)

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