スイスの製薬大手ロシュは14日、開発中のアルツハイマー病治療薬「ガンテネルマブ」の臨床試験において、症状の進行を遅らせることを明確に示す結果は得られなかったと発表した。
このコンテンツが公開されたのは、
同社は声明外部リンクで「グラデュエート1」と「グラデュエート2」と呼ばれる2つの臨床試験を行ったと説明。いずれの試験も、早期アルツハイマー病患者において、ガンテネルマブが記憶、問題解決、方向感覚、家庭生活の能力などを維持できると示す結果は得られなかったと述べた。薬剤の副作用が被験者にとってどの程度耐えられるかを示す忍容性は、皮下による投与を含め良好だった。
ロシュは医師による診察と問診を受けた患者約2千人を半数に分け、同じ2つの試験を実施。患者を1対1の割合で無作為にガンテネルマブを投与するグループと偽薬を投与するグループに振り分け、症状の進行具合を2年3カ月間観察した。
ガンテネルマブは皮下投与が可能な医薬品。脳内で作られるたんぱく質の一種「アミロイドβ」の凝集体に結合することでアミロイドβのプラークを除去し、さらなる蓄積を防ぐよう設計されている。アミロイドβの蓄積はアルツハイマー病の原因とされる。
世界保健機関(WHO)によると、世界の認知症患者5500万人の大半がアルツハイマー型認知症である可能性が高い。2030年には認知症の患者数が7800万人に上ると予想される。
英語からの翻訳:シュミット一恵
おすすめの記事
スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの弾薬製造会社Pディフェンスの狙撃用弾薬が昨年7月、ポーランドの会社経由でウクライナに届いていた。スイス公共放送が報じた。
もっと読む スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
おすすめの記事
スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。
もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
おすすめの記事
2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。
もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
おすすめの記事
CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
このコンテンツが公開されたのは、
今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。
もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
続きを読む
おすすめの記事
安価な医療の終焉 画期的な新薬はもはや高嶺の花か?
このコンテンツが公開されたのは、
革新的な新薬や治療法が次々と登場し、様々ながんや遺伝性疾患の治癒が可能になりつつある。だが問題は、これらに付けられる非常に高額な値段だ。
もっと読む 安価な医療の終焉 画期的な新薬はもはや高嶺の花か?
おすすめの記事
スイスバイオテック企業:「米国での上場は必然の選択」
このコンテンツが公開されたのは、
新型コロナウイルスのワクチン開発競争に、スイス企業の姿はなかった。しかし、アルツハイマー病のワクチンでは、ローザンヌ拠点のバイオテック企業 「ACイミューン」の製品が市場化一番乗りを果たすかもしれない。
もっと読む スイスバイオテック企業:「米国での上場は必然の選択」
おすすめの記事
「脳をだます」ハイテクな治療装置 臨床に応用
このコンテンツが公開されたのは、
世界的に、脳疾患の治療法は絶望的なまでに不足している。だが、スイスの神経科学ベンチャー企業と研究所が、こうした疾患に苦しむ人々を助けるハイテクな治療装置を開発中だ。連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)で開催された国際神経科学会議「2015年ブレイン・フォーラム」に参加して、現状を探った。
もっと読む 「脳をだます」ハイテクな治療装置 臨床に応用
おすすめの記事
尊厳ある死を求めて
このコンテンツが公開されたのは、
ベルン大学病院の緩和ケア部門では、不治の病に侵された患者の看護を行っている。その約3分の1はここで息を引き取る。 swissinfo.chは、病院のスタッフと遺族が共に死者を弔う慰霊式に参列した。
もっと読む 尊厳ある死を求めて
おすすめの記事
スイス人が望む最期の迎え方
このコンテンツが公開されたのは、
これは、チューリヒ大学犯罪学科が1500人を対象に行ったアンケートで、この種の調査は初めてだという。 自殺ほう助 「スイス人は、最期の迎え方は自分で決定し、法律によって規制されるのを好まない傾向が強い」 と調査を指揮し…
もっと読む スイス人が望む最期の迎え方
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。