The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

ロルドゥギン氏のスイス口座めぐり4人に有罪判決

セルゲイ・ロルドゥギン
2016年、クレムリンでロシアのチェロ奏者セルゲイ・ロルドゥギン氏にメダルを贈るロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左) Keystone / Ivan Sekretarev

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の側近がスイスの銀行口座を通じて数百万フランを送金するのを手助けしたとして、4人の銀行員が有罪判決を受けた。

チューリヒ地方裁判所は30日、スイス政府から「プーチンの金づる」とされているセルゲイ・ロルドゥギン氏を手助けした罪で、4人の被告に執行猶予つきの罰金刑を科した。

被告はロシア人3人とスイス人1人の銀行幹部で、スイスの報道制限により匿名にされている。2014~16年に、プーチン氏の長女マリア氏の名付け親であるロルドゥギン氏がスイスの銀行口座に数百万フランを預金するのを手助けした。

スイスでは、契約当事者の身元に疑いがある場合、銀行は取引を拒否または終了する義務がある。

公聴会で検察は、被告らが資金の本当の所有者の身元を十分に確認せず、ロルドゥギン氏が真の所有者である可能性はないと主張した。

検察官のヤン・ホフマン氏によると、約3000万フラン(約43億円)がこの事件に関与していた。ロルドゥギン氏はスイスの制裁対象ロシア人のリストに載っており、ビジネスマンとしての活動は銀行文書に載っていないという。

ホフマン氏は先の公聴会で「すべての証拠は、セルゲイ・ロルドゥギンが資産の真の所有者であることに反している行員は規則に従わなかったので、罰せられるべきだ」と主張した。

弁護側は、ロルドゥギン氏が昨年、銀行から口座の受益者として正しく登録されたと書面で通知を受けたと反論した。

ロルドゥギン氏が口座の真の所有者であることを疑う理由もなく、同氏はプーチンの友人なので金持ちであったことは「もっともらしい」ことだと訴えた。

判決前の説明によると、弁護側は「セルゲイ・ロルドゥギンはただのチェロ奏者・指揮者ではなく、ロシア政府に寵愛され、かなりの富を蓄えられるだけの特殊な資金源があったことは確かだ」と抗弁。この種のえこひいきはスイスでは嫌われるかもしれないが、それは事件とは関係がない、と訴えた。

英語からの翻訳・編集:ムートゥ朋子

おすすめの記事
チューリヒ地方裁判所

おすすめの記事

「プーチンのチェリスト」口座めぐりスイスで公判開始

このコンテンツが公開されたのは、 ロシアのオリガルヒ(新興財閥)がスイス口座を通じて巨額の資金を動かしていた事件で、ロシア・ガスプロム銀行スイス支店の従業員4人に対する公判が8日、スイスの地方裁判所で始まった。

もっと読む 「プーチンのチェリスト」口座めぐりスイスで公判開始

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

セメンヤ

おすすめの記事

欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

このコンテンツが公開されたのは、 欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。

もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流
プラタナス

おすすめの記事

プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。

もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
ひまわり畑

おすすめの記事

見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。

もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部