スイスのバイオ医薬大手ロンザは29日、米モデルナ製の新型コロナウイルス感染症ワクチンを生産するヴァレー(ヴァリス)州フィスプの自社工場に、さらに3つの生産ラインを追加すると発表した。ワクチンの世界供給を増やす措置の一環という。
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ロンザには現在、3つの生産ラインがあり、それを倍増する。新しい生産ラインは2022年初めまでに完全稼働する予定。ロンザとモデルナは20年、ロンザが米国外の世界市場向けに、自社工場でモデルナ製ワクチンの原薬を製造する10年契約を締結した。
モデルナは声明で、22年までに全体の供給を最大30億回分に増やす計画だと発表した。1回目の接種の効果を確実にするため投与する「ブースターショット(追加注射)」の需要が来年から増える可能性があるため、同社はワクチン需要が高まると見込む。
一方で、ロンザはフィスプ工場増員に向けた人材採用に苦慮している。独語圏のスイス公共放送(SRF)は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の影響で、バイオテクノロジーの専門家は世界中で売り手市場になっていると報道。連邦内務省は現在、ロンザが連邦政府や連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)、同ローザンヌ校(EPFL)の専門家を登用できるよう支援していると報じた。
ロンザはスイス政府の支援を受け、食品大手ネスレから臨時スタッフを採用したと報じられている。ロイター通信によればモデルナは、英国やカナダなどに対するワクチン出荷の遅れが見込まれていることについて、生産能力に問題があると批判している。
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