UBSは「親から相続しない限り、大半の世帯にとってマイホームを構える余裕がなくなった」と指摘する。チューリヒとジュネーブの住人にとっては当たり前のことかもしれない
Keystone
スイスの銀行大手UBSが27日発表した「グローバル不動産バブルインデックス外部リンク」2018年版によると、香港やミュンヘン、トロントなど景気の良い都市で不動産バブルの危険が高まっている。それらの都市に比べると、チューリヒとジュネーブなどの不動産価格は安定しているという。
このコンテンツが公開されたのは、
ミュンヘンやアムステルダム、香港では過去数年にわたって不動産の価格が実態を大幅に上回っている。特に香港は、事態が反転して不動産価格が急落、景気後退につながるリスクが最も高い。
また、「価格と実態が釣り合っていない」都市に、バンクーバー、サンフランシスコ、フランクフルトの名も挙げた。
反対に、ストックホルムとシドニーは既にバブルがはじけて価格が急落した。ボストンやシンガポール、ミラノの不動産は「公正に評価されている」といい、シカゴは価格が実態を下回る。
UBSは、分析対象の金融都市20カ所の多くが住宅バブルの危険にさらされていると警告した。ただその危険度は金融危機前の2007年ほど高くない。「2000年代半ばの不動産ブームとは対照的に、貸出と建築が同時に過剰に起きているという事実はない」と指摘した。
明るさを欠く
一方、スイス金融業の中心チューリヒとジュネーブでは、不動産価格は「明るさを欠く」と評した。
チューリヒでは「資金調達の条件は良く、所得も上がっている」ため引き続き価格が上がる傾向にある。20都市中で住宅ローン金利は最低水準だが、中価格帯家屋のローン返済には最低36年かかるという。
ジュネーブでは、スイスの不動産市場全体と同様にわずかに価格が下落した。しかしなお「住宅不足」の状態にあり、建設ペースは遅いと指摘した。過去10年で新築された住宅は全体の3%と、チューリヒの3分の1の規模にとどまる。
おすすめの記事
スイス、PFASの規制強化を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。
もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌ国際バレエコンクールの最終選考が8日に行われ、韓国のパク・ユンジェさんが優勝。群馬出身の安海真之介さんが3位で入賞した。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
おすすめの記事
スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
このコンテンツが公開されたのは、
世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。
もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
おすすめの記事
スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。
もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
おすすめの記事
スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。
もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
おすすめの記事
スイスに感染症情報解析センター発足
このコンテンツが公開されたのは、
感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。
もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
続きを読む
おすすめの記事
不動産×ブロックチェーン スイスのプロップテックは規制当局を説得できるか
このコンテンツが公開されたのは、
超低金利で不動産バブルに沸くスイス。その恩恵により多くの人が預かれるよう、スイスのブロックチェーン企業が不動産と技術を融合させる「プロップテック」の先進的なビジネスを打ち出す。だが規制当局はブロックチェーン技術を奨励する一方で、未知の技術に厳しく監視の目を光らせる。
もっと読む 不動産×ブロックチェーン スイスのプロップテックは規制当局を説得できるか
おすすめの記事
スイス、銀行危機再燃の可能性は?
このコンテンツが公開されたのは、
25年前に起きたトゥーン貯蓄貸付銀行(SLT)の破綻劇。口座からの払い戻しを求め通帳を手に並ぶ人々の姿は世界中で報道され、結果的には多くの預金者が資産の大部分を失った。今もこういった銀行危機が再燃する可能性はあるのだろうか?
1991年10月、スイス金融当局がベルナー・オーバーラントの地方銀、トゥーン貯蓄貸付銀行(SLT)の営業停止を決定すると、当事者たちの間には大きな衝撃が広がった。その1人でSLTに口座を持っていたクルト・ペーター・シュヴァイツァーさんは、連邦議会議事堂の門衛だった。そのため、同問題について議事堂内で連邦銀行委員会(EBK/CFB)が会見を開いた時には、出席者であるSLT幹部を自ら丁重に迎え入れなければならなかった。「人生における最悪な瞬間だった。必死で自制心を働かせた」と、シュヴァイツァーさんは述べた(ビデオ参照)。
もっと読む スイス、銀行危機再燃の可能性は?
おすすめの記事
高級リゾート地ヴェルビエ 価格戦略で客離れ防ぐ
このコンテンツが公開されたのは、
2月の寒い朝。ヴェルビエの中心部にあるメドラン・バブルリフト乗り場の前では、何十人もの子どもと親が、スキーインストラクターの登場を辛抱強く待っている。灰色の雲と舞い落ちる雪の下で、さまざまな言語と笑い声があふれている。…
もっと読む 高級リゾート地ヴェルビエ 価格戦略で客離れ防ぐ
おすすめの記事
スイスに漂うバブルの気配
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行最大手UBSの報告によると、2012年第4四半期には不動産市場の過熱リスクがさらに増大した。「インデックスは明らかに危険ゾーンにあり、不動産市場の不均衡が深刻化しているようだ」と記されている。比較ウェブサイ…
もっと読む スイスに漂うバブルの気配
おすすめの記事
お金持ちの家探し
このコンテンツが公開されたのは、
まずは南スイスのティチーノ州にある大邸宅に車で向かった。 ポンテ・トレーザ ( Ponte Tresa ) を過ぎて数分後、目の前に大きな門が現れた。これをくぐって、10万平方メートルもある公園を通り抜ける。 公園の…
もっと読む お金持ちの家探し
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。