世界経済フォーラム(WEF)が9日発表したグローバル競争力ランキング2019年版外部リンクで、スイスは5位に順位を下げた。昨年の4位からさらに順位を落とした。
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1位はシンガポールで、米国、香港、オランダが続いた。ランキングの対象は世界141カ国。世界経済は大幅な景気後退への備えが十分ではないとWEFは指摘した。
「金融危機から10年経ち、何兆ドルものお金がつぎ込まれたにも関わらず生産性は停滞している。金融政策は活力を失い、WEFは生産性向上に重点を置いた財政政策や公的なインセンティブが必要だと考える。研究開発や職業訓練、イノベーション主導の成長に必要なインフラの整備などへの投資によるものだ」
強み
欧州第2位の競争力を持つスイスは、ランキングの基礎となるインデックスの12項目のうち8項目で10位以内に入った。「能動的な労働政策」や「生産性に紐づいた賃金」の2項目ではトップだった。
報告書は「スイスはスキルについては世界トップクラス。最も幅広く高度な職業訓練制度があり、学卒者の能力も高い」と評価。国際的な共同開発においては世界一で、一人当たりの研究開発投資は第3位だ。
弱み
改善すべき分野は、「関税の複雑さ」(141位)と「利益相反取引の規制」(133位)、「労働に対する税率(74位)。その他には「労働力の多様性」(21位)、「主要研究機関の衰退」(20位)。
また、報告書は、スイスの競争力を引き下げる別の要因に、ビジネスのダイナミズムをあげ、「新たに事業を開業する時間の短縮が、全体的なランキングの向上につながる」と指摘する。
2009~17年、スイスはランキングのトップを独占したが、当時からインデックスの計算方法が変わった。今のインデックスは4代目だ。
「インデックス第4版はイノベーションが競争力のカギとなる新経済で繁栄するためのコンパスとなる。各国とも経済政策でインフラやスキル、研究開発を重視し、古い成長論に基づいた政策しかとらない国より強くなるだろう」。WEFの創始者でクラウス・シュワブ会長はこうコメントした。毎冬スイス・ダボスで開かれるWEFの年次総会「ダボス会議」には世界の政治・経済界の重鎮が集まる。
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