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「スイスと日本はどの2国間関係より緊密」スイス日本協会のハーグ会長に聞く

ヘリベルト・ニコラウス・ハーグ氏
ヘリベルト・ニコラウス・ハーグ氏 Herbert N. Haag

日本・スイス間の文化交流に多大な貢献をしたとして今年、日本の旭日中綬章を受章したスイス日本協会のヘリベルト・ニコラウス・ハーグ会長(70)。若い頃に仕事で9年間日本に駐在した経験を生かし、会長として14年間、両国の文化の架け橋を担ってきた。「私たちの活動が評価され、名誉なことだと思っている」と受賞を喜ぶハーグ氏に、これまでの活動と今後の目標を聞いた。

ハーグ会長が旭日中綬章を受章

スイスインフォ:スイス日本協会はこれまでどんな活動をして来たのでしょうか。

ハーグ:1955年の設立以来、日本とスイスの文化交流促進を目的に活動しています。現在はほぼ毎月1回、スイス各地で日本食を食べる集まりや日本映画の上映会といった様々なイベントを開いています。会員の大半が日本に以前住んでいたことがある、配偶者が日本人など日本に何らかのかかわりがあるスイス人ですが、日本人も所属しており、行事を通して相互の交流を図っています。また、日本人とスイス人の両親を持つ子供たちの交流支援にも力を入れています。

スイスインフォ:2014年はスイスと日本の国交樹立150年という記念の年でした。

ハーグ: 私たちにとっても特別な年でした。最も思い出深いのは、私が提案した文楽のスイス公演です。実現まで3年かかりましたが、チューリヒやバーゼル、ジュネーブなど計7公演を行い、チューリヒは2公演ともすぐに完売。手ごたえを感じました。スイスでこれだけの規模の文楽公演は初めてのことで、日本駐在時から抱いていた長年の夢が叶った瞬間でもありました。

また、私の発案で記念切手も発行しました。スイス郵便と日本郵便がコラボレーションし、日本は桜、スイスは山の風景の絵柄で、両国で販売しました。切手のコレクターが多い日本ではとても好評だったようです。

スイス日本協会

スイスと日本の文化交流の促進を目指し、スイス人と日本人が運営する民間の団体として1955年にチューリヒで設立。会員は現在500~600人。1975年にはジュネーブにフランス語圏の支部が出来た。▽日本に仕事などで居住、または旅行したことがあるスイス人▽日本に興味があるスイス人▽スイスを旅行、またはスイスに居住している日本人―の会員を対象に、さまざまな文化行事を通じて相互支援や情報共有を図る。1985年に当時事務局長を務めていたアルフレッド・クンツ氏が勲四等瑞宝章、1989年に前会長のアルフレッド・ハルトマン氏が勲三等旭日中綬章を受章している。

2011年の東日本大震災発生後、スイスでチャリティーコンサートを主催。収益の10万フラン(約1150万円)を日本赤十字社に寄付した。

スイスインフォ:日本文化との出会いは。

ハーグ:スイス・リー(スイス再保険)に勤めていた28歳のとき、東京オフィスの責任者として9年間駐在しました。非常にミステリアスで、細部までこだわり抜かれた日本の芸術文化に魅了されました。特に強い関心を持ったのは(人形浄瑠璃の)文楽です。東京の国立劇場の近くに住んでいたので、文楽の公演は良く行きました。大阪の国立劇場にも足を運びました。人形の表情、動き、衣装、どれをとっても圧倒的に美しい。文楽をいつかスイスで開催したい、そんな夢を持つようになりました。

日本で多くのことを学び、その恩返しが出来たらとずっと思っていました。帰国後はスイス・リー法人としてスイス日本協会の活動に関わっていましたが、1993年11月に別の再保険会社を立ち上げ、いったんスイスを離れました。再び戻ってきたときに協会から会長職を打診され、是非貢献したいと引き受けました。

スイスインフォ:会長として、スイスと日本の関係をどう見ていますか。変化はありましたか。

ハーグ:国交樹立以来、ハーモニーにあふれた友好関係を変わらず持ち続けてきたと感じています。スイスと日本は国の規模が全く違いますが、どちらも謙虚な人柄で国民性が似ている。日本人はスイスの美しい風景や時計、電車といったものをすごく好きだと言ってくれ、そのたびに嬉しい気持ちになります。スイスと日本は、他のどの二国間関係よりも緊密だと感じています。

スイスインフォ:今後については。

ハーグ: 来年にも、日本にある姉妹都市を回るツアーを開催し、更なる文化交流を図りたい。日本では2020年の東京五輪など大きなイベントも控えています。ただ私は70歳になり、在任も14年を超えました。私と同じくらいの情熱で協会を引っ張って行く後継者が出てきて欲しい。ただ、私はどんな形にせよ、スイスと日本の友好関係の発展にこれからも貢献していきたいと思っています。

ヘリベルト・ニコラウス・ハーグ

1947年生まれ。

保険会社勤務を経て、スイス・リー(スイス再保険)に入社。1974年に香港オフィス赴任、75~84年まで東京オフィスの責任者として駐在。93年に同社を退社するまでエグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)として北米、南米、アジア、アフリカなどの再保険業務を統括。

93年11月、自然災害に特化した再保険会社パートナー・リー(PartnerRe)を設立。同社最高経営責任者(CEO)、シニアアドバイザーを歴任。

現在は退職し、チューリヒ近郊のウエリコンに住む。2003年からスイス日本協会会長。妻とは死別し、二人の娘と孫が二人いる。大の日本食好きで、一番のお気に入りはうなぎと寄せ鍋。

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