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ジュネーブで教育を受けた金正男氏 暗殺?

金正恩の異母兄、金正男氏。2001年に撮影。 Keystone

スイスで教育を受けたことで知られる金正男(キムジョンナム)氏が13日、マレーシアの空港で急死した。韓国メディアは、北朝鮮の朝鮮労働党委員長・金正恩(キムジョンウン)氏の異母兄である金正男氏が、計画的に毒殺されたと報道している。マレーシアでは依然人物を特定できないとする中、捜査が進められている。そんな中、スイスのメディアはこの事件をどう報道しているのか?また、国際都市ジュネーブにある国連では北朝鮮の最近の動向をどうとらえているのだろうか?

 13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で、北朝鮮の金正恩氏の異母兄、金正男氏と見られる北朝鮮国籍の男性が急死したことを受け、韓国統一省は、殺害された人物が金正男氏だと判断して捜査している。韓国では、南北関係にも大きな影響を与える大統領選挙が近づき、政界では北朝鮮情勢への関心の高まりが強まる中で、金正恩政権の反人道的な事例として、この事件を大きく取り上げているようだ。また、米国政府は、金正男氏の詳しい死因を断定できていないものの、北朝鮮の工作員によって殺害されたとの見方を強めていると報じられている。

 一方、北朝鮮は依然として事件について報じていない。また、北朝鮮と二国間関係を維持しているマレーシア政府は、現在捜査を進めているが、死亡したのが正男氏だとは特定していない。

スイス・メディアの報道

 スイスのドイツ語圏の日刊紙NZZは14日、「金正恩の異母兄、マレーシアで毒殺」という見出しで、「かつては金正日(キムジョンイル)の後継者候補ともされていた金正男が、金正恩の怒りをかった。北朝鮮の独裁者の異母兄である金正男がマレーシアで毒殺された。かなり年齢の離れた異母兄は、金正恩に対して批判的な立場だった」と報じた。また、金正男は「金正恩について、国家元首としてはあまりにも経験が浅く、また、若いために長続きはしないと繰り返し過小評価しており、この批判が、金正男の命取りとなった可能性がある。2011年のインタビューで金正男は、マカオで暗殺されそうになったとして、自身の生命が危険にさらされているとほのめかしていた。13年には、北朝鮮のかつてナンバー2であった彼の叔父、張成沢が処刑された」とも報道した。

 フランス語圏の日刊紙ルタンは、「金正恩の兄の奇妙な死」と題して、「10年以上にわたり亡命中であった金正男は、クアラルンプールで月曜日に急死した。韓国は暗殺だとしている」と伝えた上で、スイスでの教育に触れた。「金正男は、北朝鮮の元指導者・金正日の長男だった。異母弟の金正恩のように、一時はスイスで教育を受け、ジュネーブのインターナショナル・スクールに通った。一方で弟はベルン州で教育を受けた。北朝鮮へ帰国してからの数年間は、金正日の後継者と考えられていた」と解説する。続いて、偽造パスポートで日本への入国を試みたことに触れ、「2001年5月に成田空港で、同伴した女性2人と子供と共に逮捕されたことで運命が変わった」「このような事件の後、金正日は、長男を後継から外した」と述べている。


ジュネーブの国連欧州本部における北朝鮮

 国連欧州本部で14日朝に行われた軍縮会議では、北朝鮮が12日に新型弾道ミサイルを試射したことを受け、「国際平和と安全への脅威であり、安全保障理事会の決議に反する」として金正恩政権に対する制裁を呼びかける発言が複数の加盟国からあった。

 北朝鮮は、ミサイルの発射を「国家主権と人民の安全を守るための自己防衛策」とするのに対し、韓国は「このような挑発は、北朝鮮の不合理な性格とミサイルや核兵器に対する熱狂的な執着を実証しており、北朝鮮の非核化を望む国際社会の決意をさらに強くするものだ」と発言。また、米国は、新型ミサイル発射を「とても挑発的で、世界平和と安全を脅かすものだ」として北朝鮮を非難し、日本の高見澤大使は「挑発的な行動だ」として「強く非難」した。

 ジュネーブの外交筋などによると、北朝鮮の最近の動向により、北朝鮮の国際戦略がますます不透明になっているという。


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