マルセル・オスペル氏 (1950-2020年)
Keystone/eddy Risch
スイスの銀行最大手UBSの元会長マルセル・オスペル氏が26日、がんのため死去した。70歳だった。オスペル氏は2008年の米サブプライムローン危機で会長職を引責辞任していた。
このコンテンツが公開されたのは、
オスペル氏は1950年、バーゼル生まれ。1977年に投資銀行スイス銀行コーポレーションに入社。1998年には同行とUBSの合併を担当した。
2001年にUBS会長に就任。就任当初はスイス航空(現スイスインターナショナルエアラインズ)をめぐる問題で、批判の矢面に立たされた。UBSは当時、スイス航空への信用枠拡大を拒否し、それが同航空の経営破綻につながったと批判された。ただ2007年の調査で、銀行の責任は免除された。
辞任はそれよりもはるかに大きな危機がきっかけだった。2007年の米サブプライム住宅ローン市場の崩壊により、UBSに約200億フラン(約2兆円)の莫大な損失が明らかになった。
その結果、UBSは約100億フランの新規資本調達を余儀なくされ、株主はシンガポール政府ファンドに10%の株式保有率を認めることを承認した。UBSはスイス政府にも支援を求め、390億フランの不良資産をスイス国立銀行(スイス中銀、SNB)が救済することになった。
この問題の責任を取り、オスペル氏は会長職を辞任。08年4月、後任としてペーター・クレール氏が会長に就任した。
オスペル氏の天文学的な報酬額もたびたび話題に上った。2006年の報酬は、一般的なUBS社員の平均給与の300倍超にあたる約2400万フランだった。オスペル氏が生まれ故郷のバーゼルから税率の低いシュヴィーツ州に住居を移したことも、イメージ悪化につながった。
オスペル氏には妻と2人の子供がいる。現在の妻は3人目で、元配偶者2人との間に2人の子供がいる。
おすすめの記事
スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が3日発表した2024年度決算確報は、807億フラン(約13.5兆円)の黒字だった。速報時点の見込み通り、連邦政府・州に30億フランを配当する。
もっと読む スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算
おすすめの記事
スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマルティン・シュレーゲル総裁はスイス紙のインタビューで、中銀の準備金にビットコインを追加する国民投票案に反対する考えを示した。暗号資産(仮想通貨)は資産として多くの問題を抱えていると指摘した。
もっと読む スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対
おすすめの記事
スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は3日の国連人権理事会(HRC、本部・ジュネーブ)で、ドナルド・トランプ米大統領が連邦・州レベルの死刑制度を強化する大統領令に署名したことを「深く懸念している」と表明した。
もっと読む スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で
おすすめの記事
スイス連邦工科大、鉄道橋の構造安全性を評価するAIツールを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は24日、鉄道橋の構造安定性を評価する人工知能(AI)ツールを開発したと発表した。
もっと読む スイス連邦工科大、鉄道橋の構造安全性を評価するAIツールを開発
おすすめの記事
スイス株式相場、初めて1万3000の大台に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス株式市場で24日、代表指標のSMIが一時1万3000の大台を超え、史上最高値を記録した。前日のドイツ連邦議会選挙で保守派が勝利したことを受け、安心感が広がった。
もっと読む スイス株式相場、初めて1万3000の大台に
おすすめの記事
ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ
このコンテンツが公開されたのは、
東スイスの有名観光地ゼンティス山の山岳ケーブルカー「Säntisbahn」運営会社は24日、強風に対する安定性向上を目的にケーブルカー施設の全面改修工事に着手すると発表した。
もっと読む ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ
おすすめの記事
スイス、PFASの規制強化を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。
もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌ国際バレエコンクールの最終選考が8日に行われ、韓国のパク・ユンジェさんが優勝。群馬出身の安海真之介さんが3位で入賞した。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
おすすめの記事
スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
このコンテンツが公開されたのは、
世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。
もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
続きを読む
おすすめの記事
スイス経済はコロナ危機からどう抜け出すか
このコンテンツが公開されたのは、
パンデミックに見舞われた今年、少なくとも前期は世界経済の不況を免れそうにない。そんな中、スイスはこの危機による経済的・社会的損害を最低限に抑えるために、どんな手段を講じられるのか。また、スイスの経済回復の見通しを曇らせる要素は何なのか。
もっと読む スイス経済はコロナ危機からどう抜け出すか
おすすめの記事
「子どもの夢がかなった」
このコンテンツが公開されたのは、
1969年7月20日夜、世界中の目が月に向いていた。若かりしクロード・ニコリエ氏もニール・アームストロングの冒険を胸を高鳴らせながら追っていた。ニコリエ氏は宇宙に滞在したことがあるただひとりのスイス人宇宙飛行士だ。
もっと読む 「子どもの夢がかなった」
おすすめの記事
スイス中銀、巨額黒字で「大盤振る舞い」
このコンテンツが公開されたのは、
2019年、スイス国立銀行(スイス中央銀行、SNB)は490億フラン(約5兆6千億円)と、過去2番目に大きな黒字を叩き出した。潤沢な資金を背景に、SNBは連邦や州に「大盤振る舞い」する方針だ。
もっと読む スイス中銀、巨額黒字で「大盤振る舞い」
おすすめの記事
ジュネーブとともに20世紀の国際舞台に乗り出したスイス
このコンテンツが公開されたのは、
「国際都市ジュネーブ」は第一次大戦の混乱期に誕生した。20世紀の国際舞台で重要な役割を担うため、スイス政府はジュネーブの将来性をアピールし、国際連盟を迎え入れた。
もっと読む ジュネーブとともに20世紀の国際舞台に乗り出したスイス
おすすめの記事
スイスの株価急落 新型コロナの影響で
このコンテンツが公開されたのは、
スイス株式市場指数(SMI)は12日、前日比9.64%低い8270で取引を終えた。銀行や保険会社を中心に、全面安となった。
もっと読む スイスの株価急落 新型コロナの影響で
おすすめの記事
外国での罰金、税額控除の対象に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は、企業が外国政府から科された罰金を、スイスで納める税金から控除できるようにすることに賛成した。控除を不可とする政府案が覆された格好だ。
もっと読む 外国での罰金、税額控除の対象に
おすすめの記事
UBSのトップ辞任へ 後任は蘭INGのCEO
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行最大手UBSは19日、セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)が今年秋に辞任し、後任にオランダの総合金融機関INGグループのラルフ・ハマーズCEOを起用すると発表した。
もっと読む UBSのトップ辞任へ 後任は蘭INGのCEO
おすすめの記事
今も健在の元大統領 スイスはなんと19人
このコンテンツが公開されたのは、
英国は7人、米国は5人、ドイツとフランスは2人だけ。今も健在の元大統領の人数だ。ところがスイスはなんと19人いる。これは政治が不安定だから、大統領がころころ変わるということなのだろうか?
もっと読む 今も健在の元大統領 スイスはなんと19人
おすすめの記事
スイスのマイナス金利、経済コストへの懸念大きく
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマイナス金利政策は、スイス経済全体にとっては利益よりコストの方が大きいと考えられている。個々の企業収支に与える影響は今のところ小さいが、大手金融機関が顧客にマイナス金利を転嫁する動きが広がり、今後はダメージが大きくなる可能性がある。
もっと読む スイスのマイナス金利、経済コストへの懸念大きく
おすすめの記事
クレディ・スイスCEOが辞任 内偵スキャンダルで
このコンテンツが公開されたのは、
内偵スキャンダルに揺れる金融大手クレディ・スイス(CS)は7日、ティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)の辞任を発表した。
もっと読む クレディ・スイスCEOが辞任 内偵スキャンダルで
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。