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今年の収穫どうする? コロナ危機で頭を抱えるスイス農家

Duas pessoas fazendo colheita
今月1日、ザンクト・ガレン州でアスパラガスを収穫する農業者。いつもなら多くの外国人労働者の手を借りている Keystone / Gian Ehrenzeller

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で働き方が制限されるなか、スイスの農家も大きな頭痛の種を抱えている。収穫を担う外国からの季節労働者の確保が難しくなっているからだ。

チューリヒ市の北西部にある小さな町、ラフツ。ユッカー農場ではアスパラガスの新芽がまだ土の下で眠っている。いつもなら外国からの季節労働者が収穫にやってくるが、今年は多くの外国人労働者がスイスに入国できないかもしれない。

「みんな自分の国に留まって、国境が開くのを待っている」。ユッカー農場のマーケティング長を務めるナディーン・グロール氏はこう話す。農場ではアスパラガスやカボチャの植え付け・収穫、直売所や2カ所の敷地内レストラン運営に150人を雇っている。

スイスの農家は外国人労働者への依存度が高い。特に多いのは東欧やポルトガルからの労働者。連邦移民局の統計によると、2019年には農林業で1万8千人の季節労働者が外国人だった。

例年なら、春のこの時期には80人がポーランドやルーマニアからユッカー農場にやってきて、アスパラガスやイチゴの収穫に従事する。

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だがコロナ危機で欧州各国間の国境が閉ざされ、スイスも隣国との往来を規制している。南欧・東欧からの労働者もスイスに入国できなくなり、たとえポルトガル人が自国を出られたとしても、帰国の際には自主隔離が3月20日から義務付けられている。

ただグロール氏によると、ユッカー農場では幸いなことに数人の労働者が国境閉鎖前に入国していた。農場のホームページ外部リンクや、スイスの野菜・果物農家向け求人サイトに載せた求人広告に応じたスイス住民も多かった。求人サイトを運営する人材会社Coople外部リンクは、通常なら飲食業や航空業、イベントマネジメントなど活動停止中の分野に向かうはずだった労働力が、農業に流れていると指摘する。

統計はロックダウン(都市封鎖)で失業者や操業短縮が急激に増えていることを示す。スイスの全労働力の3割が労働時間を減らしている。

だが農場での仕事はさほど魅力的とは言えない。手作業が多いうえ、長時間労働(週55時間)・低賃金(時給14.50フラン=約1600円)。グロール氏は「雨の日もカンカン照りの日も、どんな天気でも働かなければならない」と話す。「野外作業はアスパラガスを傷めないように植えるにはどうすればいいか、といった専門知識が求められる。応募者を誰でも採用するわけにはいかない」

農業従事者は、農業がもっと魅力的になるように政府に支援を求める。

Coopleのヴィクトール・カラブロ社長は、ある専門誌で「今の異常な状況での市場環境を踏まえて、連邦政府は農業従事者の賃金を助成するよう必要な措置を講じてほしい。そうすれば今労働時間を短縮している31万5千人が利益を得るだろう」と試算した。

ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)や手洗いの徹底などの衛生ルールは、自宅勤務できない労働者がいる他の産業と同じように、スイスの農家にも適用される。

「ロックダウンが長引けば、農家は収穫のために他のやり方を考えなければならない」。フランス語圏の農家連盟アゴラのロイク・バルデ会長はこう語った。スイス政府は当初4月19日までだったロックダウンを1週間延長し、27日からは段階的に正常化していく方針だ。だが国境の封鎖がいつ解かれるのかはまだはっきりしていない。

ただ連邦当局は国内の食糧供給に支障が出るとは考えていない。連邦経済省農業局のフロリー・マリオン広報官は「農家の季節労働者が不足することはないと思う。今後どうなるかを予測するには時期尚早だ」と話す。政府はさまざまな経済対策を打ち出しており、農業向けの支援策も設けている。例えば臨時雇用向けの査証(ビザ)は、通常の3カ月から6カ月に延長されている。

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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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