スイス大手スーパーのミグロ外部リンク、コープ外部リンク、アルディ・スイス外部リンクは4日、欧州の養鶏場から出荷された卵から殺虫剤成分が検出されたことを受け、予防措置として輸入された卵の販売を停止した。スイス当局は、国内で生産された卵は汚染されていないとしている。
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連邦内務省食品安全・獣医局(OSAV)外部リンクは同日、オランダから輸入された卵から殺虫剤成分「フィプロニル」が検出されたと発表外部リンク。スイス国内の大手スーパーはほぼ同時に輸入された卵の販売停止を決めた。
当局は声明で「スイスの輸入業者による検査で(殺虫剤成分が)検出された。現時点で、健康被害を及ぼすような汚染レベルではない」とした。
この問題は先月、ベルギーとオランダで卵からフィプロニルが検出されて始めて公になった。これを受け、ベルギーとオランダの複数の養鶏場は一時的に閉鎖されている。また、欧州内のスーパーマーケットではオランダ産の卵の販売を停止した。
殺虫剤成分「フィプロニル」の毒性
世界保健機関(WHO)外部リンクによれば、フィプロニルは中程度の毒性を持ち、多く摂取すると吐き気やめまいを引き起こすおそれがある。さらに大量に摂取すると腎臓や肝臓、甲状腺の機能を損なうおそれがあるという。
現在、ベルギーとオランダの両国ではこの問題について捜査が行われている。オランダは米国に次ぐ世界第2位の農業輸出国で、年間50億個の卵をドイツに輸出している。
覆った販売方針
スイスの大手スーパーのミグロとコープは当初、輸入された卵の販売は停止しないとしていたが、4日午後になって方針を変更した。
ミグロは自社ブランド「M-Budget外部リンク」の商品として、卵をオランダから輸入している。いくつかの卵からフィプロニルが検出されたため、該当する商品を回収した。販売期限が8月26日までのものだという。
コープは自社商品で汚染された卵は見つからなかったとしたが、予防措置として輸入された全ての卵の販売を停止することを決めた。スイスでは農業目的でフィプロニルを使用することは禁止されている。OSAVによれば、国内の養鶏場でフィプロニルは使用されていない。
(英語からの翻訳・大野瑠衣子)
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