スイスは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済危機から国内の中小企業を救うため、50万フラン(約5700万円)まで無利子で融資する制度を設けた。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)も銀行を後方支援する枠組み「COVID-19リファイナンス・ファシリティー(CRF)」を立ち上げた。
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無利子融資制度は26日から始まる。企業が喫緊の支払いを済ませるために必要なお金を、銀行が貸し出す。50万フランまでは無利子・無審査。50万フラン超2千万フランまでは0.5%の利子が付き、簡易審査で融資が実行される。
銀行による融資に対し、連邦政府が50万フランまでは100%保証する。50万フラン超千万フランまでは融資額の85%を保証し、15%は貸し出す銀行がリスクを負う。SNBはオンライン申請を通じ、政府保証融資に取り組む銀行に無制限で現金を供給する。
スイスでは今月17日から4月19日まで、生活必需品以外の小売店の営業を禁止している。企業も国境閉鎖や外出自粛などにより大きな減産に直面している。世界的にも景気が後退し、スイスはマイナス成長に陥ると予想されている。
スイス政府は13日に100億フランの緊急経済対策を発表し、20日には420億フランに拡大した。うち約140億フランは、労働時間を減らさざるを得ない従業員の賃金を補償する制度に充当。200億スイスフランが政府保証付き借り換えローンとして提供され、残りは特定の産業への支援に充てられる。
政府は、「新型コロナウイルスの影響を受ける企業は、年間売上高の最大10%、最高2000万フランの橋渡し融資を政府保証付きで銀行に申請できる」と述べた。一定の条件を満たす必要があり、「特にCOVID-19流行により売上高が大幅に減少していることを企業が証明しなければならない」。
経済連合エコノミースイス(economiesuisse)外部リンクは、無利子融資制度の立ち上げを評価し、企業が破綻する「負の連鎖反応を防ぐ」と述べた。
スイスの金融最大手クレディ・スイスは「この制度から収益を稼ごうとは考えていないが、もし収益が出れば、困難に直面するスイス企業を支援するプロジェクトに寄付する」と表明した。
悪用は処罰
ウエリ・マウラー財務相は、無利子融資制度の詳細を発表した25日の記者会見で、企業所有者が制度を悪用することはないと信じていると語った。だがもし制度が不当に利用された場合は10万フランの罰金を科す可能性があると警告した。
マウラー氏は、大企業には別の財政支援を検討すると明らかにした。
SNBは、住宅ローンの焦げ付きに備えた余分の資本(カウンターシクリカル・バッファー)の確保を一時的に停止するよう推奨した。銀行がより多くの資本を企業に供給できるようにするためだ。
クレディ・スイスは25日発表したリポートで、「新型コロナウイルス危機はスイスの不動産市場に影響を与えない」と結論付けた。連邦政府がコロナ危機により失われた家計収入の大部分を補償すると宣言したのが背景にある。
リポートでは「確かに多少の損害は予想されるが、主に商業用不動産、特に小売業やホテル産業の市場に限られる」と説明した。
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