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スイスの4.7兆円経済対策に不満の声

Man walks past shuttered store
スイス国内のほとんどの店はシャッターを閉めている Keystone / Jean-christophe Bott

スイス連邦政府がまとめた420億フラン(約4兆7千億円)の緊急経済対策は、新型コロナウイルスに苦しむスイス経済の救済には不十分だ、との見方が経済界やエコノミストの間で広がっている。年末までに3倍の額の財政出動が必要だとの試算もある。

スイス連邦政府は20日、新型コロナウイルスに関連する経済対策の規模を100億フランから420億フランに拡大した。140億フランは短時間勤務補償制度、200億フランは特定の業界での賃金補償などに充てられる。

生活必需品以外の小売・サービス業は4月19日まで営業が禁止されている。観光・宿泊業は今後数カ月、観光客が激減し経営が苦しくなりそうだ。

緊急経済対策は約3カ月間、返済や給与の資金繰りをしのいで倒産を防げる規模だ。製造業団体スイスメムのハンス・ヘス会長は、ドイツ語圏の日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングで「多くの企業にとって、状況は今のところそう劇的ではない」と話した。

「(だが)一部の取引先の支払いが遅れたり、全く支払えなくなったりするのは確かだ。資金繰りの深刻な危機に陥る可能性は高い」

ギー・パルムラン経済相はドイツ語圏の日刊紙NZZの日曜版で、追加的にどの程度の経済対策が必要となるかについて明言を避けた。「政府は今の状況から必要と判断される数字しか公表しない」としたうえで、「政府は国民の今後の健康と収入を保証するためにあらゆる手を尽くす。状況が今後どう変わるか注視が必要だ」

連邦工科大学チューリヒ校景気調査機関(KOF)は17日、1千億フランの基金を設けるよう提唱外部リンク。公的債務の抑制に関するスイスの「債務ブレーキ」原則には違反しないと主張した。NZZは営業停止や国境制限が年末まで続いた場合、1300億フラン規模の支援策が必要になると試算した。

スイス政府の緊急経済対策

スイス連邦政府は3月13日に100億フランの緊急経済対策を発表した。同20日には320億フランを追加し、経済対策の規模は計420億フランとなった。うち140億フランは労働時間を減らさざるを得ない労働者への賃金補償制度に、200億フランは支払い能力に問題を抱えた企業への政府保証に充てる。50万フランまでは無利子、それ以上は2千万フランまで利子0.5%、融資額の85%まで保証する。

営業停止を余儀なくされた文化事業者には2億8千万フラン、スポーツ協会には1億フランを充てる。自営業者、観光業者への支援も講じる。

休校中の子供の世話が理由で仕事ができない親たちには、収入の80%(1日最大196フラン)を補償する。隔離措置を受けた人への補償は最大10日分とする。

スイス国立銀行(中央銀行)は25日、政府が保証する借り換えローンを組んだ銀行に対し、融資額と同等の流動性を供給する「COVID-19リファイナンス・ファシリティー外部リンク」を設置すると発表した。つなぎ融資が集中し銀行が破綻するのを防ぐ。

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