スイスの視点を10言語で

スイスの老舗時計メーカー、仮想通貨のウオレット機能つき腕時計を開発

「クリプト・メカニカル・ウオッチ 」のロゴ
300年続く家族経営の時計メーカーが、機械時計と仮想通貨技術を結びつけた A. Favre & Fils

1718年創業のスイスの時計メーカー、A.ファーブル&フィスが、仮想通貨を保管するウォレット機能を持った腕時計を開発した。

2008年に家業を継いだ10代目社長、ローラン・ファーブル氏は新製品「クリプト・メカニカル・ウオッチ」(CMW)が猿真似商品ではないと胸を張る。伝統的な機械時計を現代の最新技術と結びつけることを狙った。家族経営の同社は日本製のクオーツ時計が市場を席巻した1970年代、廃業一歩手前まで衰退した。

ファーブル氏は、その苦難の時代が再来するのを避けるには、新旧の技術を合体させることが最もよい手段だと考えた。「電車の時代に蒸気機関車の未来を考えるようなものだった」。ファーブル氏はスイスインフォの取材にこう振り返った。「デザインの向上につながる工夫を続けなければならない」

仮想通貨関連では、ビットコインで買える腕時計の限定モデルを発売したブランドは他にもある。だがCMWは「ただお金を投じるだけでなく、仮想通貨の取引に関わる人々にとって便利なものにしたかった」(ファーブル氏)

CMWは晩春~初夏に発売予定。販売価格は10万~15万フラン(約1100万~1700万円)を想定しており、仮想通貨でも購入できる。試作品は未完成だが、技術的には生産可能な状態になっている。

ウェアラブル金庫

時計を紛失したり盗難・損害を受けたりした場合への安全対策を講じた。だが具体的にどのような技術を使ったのか、ウォレットをどう管理するのかはまだ明かされていない。

現時点で分かっているのは、腕時計を装着していないときには仮想通貨を安全に保管する「コールド」状態になり、装着すると取引や支払いに利用できる「ホット」状態になるということだ。

A.ファーブル社はブロックチェーン技術を使った別の新製品も開発中だ。取引を記録するデジタル台帳や、トークン(電子証票)化された株式など暗号資産が想定される。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

笑顔で握手を交わす閣僚

おすすめの記事

2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。

もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
健康保険カード

おすすめの記事

医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査

このコンテンツが公開されたのは、 大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。

もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
連邦工科大学の校舎

おすすめの記事

スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。

もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
ベツナウ原発

おすすめの記事

世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。

もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
アルコール検査

おすすめの記事

スイスのドライバー、2割が飲酒運転

このコンテンツが公開されたのは、 欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。

もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
銃口

おすすめの記事

狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部

このコンテンツが公開されたのは、 先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。

もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
サルコ

おすすめの記事

自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束

このコンテンツが公開されたのは、 今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。

もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
金塊

おすすめの記事

スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。

もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
ポイ捨てされた空き缶と小鳥

おすすめの記事

スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。

もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部