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福島第一原発事故で避難の母親、ジュネーブの国連人権理事会で訴え

森松明希子さん
森松明希子さん。国連ジュネーブ事務局前で Shaun Burnie/Greenpeace

福島第一原発事故後、福島県郡山市から子供二人を連れて大阪府に避難している森松明希子さんが19日、ジュネーブで開かれた国連人権理事会(UNHRC)でスピーチし、自主避難者に対する支援継続などを日本に求める理事会勧告について「同意するだけではなく、日本政府は直ちに政策に反映して欲しい」と訴えた。

 森松さんはこの日開かれた日本の人権状況の審査に対する会合で、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの仲介でスピーチ。「情報が与えられず、無用な被ばくを重ねた。私は汚染された水を飲むしかなく、赤ん坊に母乳を与えてしまった」と当時の経験を振り返った。

 森松さんはまた「日本政府は市民を守るための施策はほとんど実施してこなかった。その上放射線量の高い地域への帰還政策にばかり力を注いでいる」と訴え、加盟国に「福島、東日本に住む、特に子供たちを放射線被ばくから守るため力を貸して欲しい」と呼びかけた。

 グリーンピース・ジャパンによると昨年、避難指示区域外から全国に自主避難している福島県民約2万9千人への住宅無償提供などの支援が打ち切られた。

 人権理事会は昨年11月、自主避難者も含めた被災者支援の継続や死刑制度廃止など、計217項目に上る人権の状況改善を日本に勧告。政府はこのうち被災者支援など145項目を受け入れた。この日の会合では、政府回答を反映した報告書が採択された。

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