スイスとオランダに拠点を置く反核団体がまとめた調査で、銀行、年金基金など300超の金融機関から、昨年は5000億ドル以上が核兵器製造企業に流れ込んだことが分かった。スイスのクレディ・スイスもそのリストに含まれている。
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調査書「Don’t Bank on the Bomb(核兵器にカネを出すな)外部リンク」は、スイス・ジュネーブを本拠とする「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN外部リンク)」のメンバー団体であるPAX外部リンク(オランダ)が、14年から毎年公表している。2018年版はフランス、インド、オランダ、英国、米国に拠点を置く核兵器製造企業上位20社に投資している計329機関を公開。世界24カ国の銀行、保険会社、年金基金、資産管理会社が計5250億ドル(約55兆7千万円)を投じたことが分かった。うち1100億ドルはブラックロック外部リンク、バンガード外部リンク、キャピタルグループ外部リンクといった世界有数の企業からの投資だった。
昨年ノーベル平和賞を受賞したICANのベアトリス・フィン事務局長は、「新たな核開発競争が世界終末時計の針を進めた。それだけではなく、大量破壊兵器にお金を注ぎ込みたい人々により、新しい核のゴールドラッシュが始まっている」と批判した。
2017年の総投資額は前年から810億ドル増えた。一方、核関連投資を禁止する金融機関が増えており、投資家の数は1割減った。
スイスの金融機関でリストに挙がったのはクレディ・スイス1行のみ。14年時点では7機関あった。報告書によれば、同行の武器関連の投資方針外部リンクはスイス連邦軍需品法に基づき、「核、生物・化学兵器、対人地雷、クラスター爆弾の開発、製造、購入に直接投資はしない」との姿勢を取る。一方で「こうした武器の開発、製造、購入に投資が結びつかないのであれば、核兵器製造企業にサービスを提供することもある」としている。
報告書によると、団体の調査で、クレディ・スイスが核兵器製造企業に数件、投資していたことが判明した。
このため報告書では、クレディ・スイスが現行の法解釈を広げ、「(投資を禁止する対象を)核兵器関連の活動に限定するのではなく、核兵器製造会社への投資を一切止めるよう勧める」と提言。また「資産管理を含む全ての金融商品」においてこうした原則を貫くよう求めた。
日本の金融機関では千葉銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、野村グループ、オリックス、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友トラストの名がリストに挙がった。
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