国営兵器製造会社「ルアク(RUAG)」で製造されている戦車
Keystone
スイス企業は昨年、政府が承認する軍事用の物資や武器を64カ国に輸出し、総額は5億1千万フラン(約570億円)に上った。前年に比べ14%増加した。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦経済省経済管轄局(SECO)の26日の発表によると、最大の輸出先はドイツで約1億1800万フラン。続いてデンマーク、米国、ルーマニア、イタリアだった。輸出相手国の中にはパキスタン(1100万フラン)、アラブ首長国連邦(900万フラン)、サウジアラビア(220万フラン)も含まれる。
市民グループ「軍隊なきスイスを目指す会外部リンク(GSoA)」は26日、アラブ首長国連邦とサウジアラビアが「史上最悪の人道危機」とも呼ばれる「イエメン内戦に重要なかかわりがあり、同国内で長く続く人道的被害の責任を負っている」と述べ、これらの国に対するスイスの武器輸出を批判した。
スイス政府はサウジアラビアが内戦、国際紛争に関与していないという見解を示したが、スイスの軍需企業にサウジアラビアとの商取引を自制するよう求めた。
「緊張した経済情勢」
SECOは武器輸出の増加の理由について、修理費が初めて計上された点を挙げた。
弾薬、軍需品の部品が輸出の3分の1を占めた。装甲車両の輸出先で目立ったのがデンマーク(5900万フラン)とルーマニア(2250万フラン)だった。米国は800万フラン相当のミサイルを購入した。
SECOはまた、総額20億フランの武器輸出申請を昨年承認したと述べた。2017年の5億6400万フランから大幅に増加した。ただ同局は今後も増加が続く傾向はないとし「軍需産業の経済情勢は基本的に緊張したままだ」とした。
SECOの二国間経済関係担当の責任者アーヴィン・ボリンガー氏は、武器輸出申請の増加(2279件を承認、12件を却下)が輸出増につながるかどうかは、今後の動向次第だとの見方を示した。同氏は「(承認された)申請がすべて適用されるわけではない」と述べた。
おすすめの記事
スイス、PFASの規制強化を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。
もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌ国際バレエコンクールの最終選考が8日に行われ、韓国のパク・ユンジェさんが優勝。群馬出身の安海真之介さんが3位で入賞した。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
おすすめの記事
スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
このコンテンツが公開されたのは、
世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。
もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
おすすめの記事
スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。
もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
おすすめの記事
スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。
もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
おすすめの記事
スイスに感染症情報解析センター発足
このコンテンツが公開されたのは、
感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。
もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
続きを読む
おすすめの記事
戦争犯罪容疑者に裁きを―スイスの人権団体、捜査の遅れ懸念
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国内で近年、母国で戦争犯罪を犯したなどとしてアフリカ人の元閣僚ら2人が逮捕された。2人はガンビアの元閣僚オウスマン・ソンコ容疑者と、リベリアの反政府組織元リーダーのアリュー・コシア容疑者。2人を刑事告発したスイスの人権保護の非営利組織(NGO)は、連邦政府の捜査の遅れに気をもむ。
刑事告発したのはスイス・ジュネーブにある人権NGOのトライアルインターナショナルとシビタス・マキシマの2団体。両団体が注目するのはとりわけスイス政府の「普遍的管轄権(universal jurisdiction)」に対する姿勢だ。普遍的管轄権とは、ある国が「国際法上の犯罪(大量虐殺、戦争犯罪、人道に対する犯罪)」の容疑者を逮捕した場合、発生場所や容疑者の国籍にかかわらず訴追できるという原則だ。
もっと読む 戦争犯罪容疑者に裁きを―スイスの人権団体、捜査の遅れ懸念
おすすめの記事
スイス軍 サイバーセキュリティ強化へ
このコンテンツが公開されたのは、
コンピュータシステムへの攻撃増加に伴い、スイス軍隊はサイバーセキュリティ対策を強化すると発表した。
もっと読む スイス軍 サイバーセキュリティ強化へ
おすすめの記事
ハッカーの標的になったスイスの兵器製造会社「ルアク」とは?
このコンテンツが公開されたのは、
1998年に民営化されたルアク外部リンクは、過去10年間で国際的なテクノロジー企業として大きく発展した。現在9カ国で約8千人を雇用し、民間部門の売り上げが総売り上げの55%(2015年は17億5千万フラン、約1950億…
もっと読む ハッカーの標的になったスイスの兵器製造会社「ルアク」とは?
おすすめの記事
軍事武器が107丁紛失 紛失する武器は増加
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国防省は8日、昨年、アサルトライフル(突撃銃)とピストルが合計107丁紛失したと明らかにした。
もっと読む 軍事武器が107丁紛失 紛失する武器は増加
おすすめの記事
武装中立
スイスは1815年から中立国だが、「中立」であることは非武装を意味するものではない。スイスには自衛と国内安全保障のために軍隊が存在する。
もっと読む 武装中立
おすすめの記事
スイス政府、武器輸出規制の緩和見送り
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は31日、武器輸出に対する市民からの批判を受け、武器輸出規制の緩和を見送るとした。
もっと読む スイス政府、武器輸出規制の緩和見送り
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。