スイスの視点を10言語で

スイスの高級百貨店グローブス、10億フランで売却

globus department store
グローブスのローザンヌ店 Keystone / Laurent Gillieron

スイスの小売最大手ミグロは4日、傘下の百貨店グローブスを売却すると発表した。売却先はタイの小売最大手セントラルグループとオーストリアの不動産会社シグナの合弁会社。売却額は約10億フラン(約1100億円)と報じられている。

売却するのはブランドとしてのグローブスと、チューリヒ、バーゼル、ベルン、ザンクトガレンにある8店舗。

ミグロがグローブスを約7億フランで買収したのは1997年。プレスリリースで「興味を示した12社のうち、シグナとセントラルグループが最も良い買収額と将来戦略を提示した」と述べた。グローブスの存続と店舗網拡大を保証する戦略だという。

ミグロは昨年6月以降、家具販売のインテリオ、電動自転車のエムウェイ、インテリアデザインのグリース・デコを相次いで売却。グローブスはその締めくくりとなりそうだ。

ブランド名はそのまま

シグナとセントラルグループはこれまでに欧州各地で高級百貨店を多く買収してきた。ドイツのカーデーヴェー、イタリアのリナシェンテ、オランダのイルムなどだ。

セントラルグループのヴィットリオ・ラディス最高経営責任者(CEO)は「歴史あるスイスブランドとして、地元で存在感があり国際的にも認知されているグローブスは、我々の欧州戦略に完璧に合致する」とコメントした。同氏はグローブスの経営を引き継ぐとみられる。

買収後もグローブスのブランド名を踏襲し、中核事業である高級品・最高級品の品ぞろえを2倍にする。

グローブスは国内に48店舗を構え、うち12店舗は大型百貨店。フルタイム換算で2409人を雇用している。昨年の年間売上高は7億6300万フランと、複数の閉店が響いて前年比5.6%減った。インターネットショッピングとの競争でも苦戦を強いられている。

買収は欧州の競争当局の承認が必要で、2020年半ばにも成立する見通し。

おすすめの記事
Globi und Helvetia

おすすめの記事

スイスの人気キャラクター「グロービ」が教える民主主義

このコンテンツが公開されたのは、 子供にとって「民主主義」はとっつきにくいテーマだ。自分たちとは関係のない、大人の世界の言葉に思えてしまうからだ。そこでスイスの民主主義を子供たちに分かりやすく説明する本が登場した。主人公はスイス・ドイツ語圏で絶大な人気を誇るキャラクター「グロービ(Globi)」だ。

もっと読む スイスの人気キャラクター「グロービ」が教える民主主義

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

巨大な豆腐を切る人

おすすめの記事

スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。

もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
草原のツルの群れ

おすすめの記事

スイスを縦断するツルが過去最多

このコンテンツが公開されたのは、 スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。

もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
手

おすすめの記事

「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。

もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
眼の診察

おすすめの記事

スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの医療機関団体は22日、外来患者向けの新料金体系を承認したと発表した。エリザベット・ボーム・シュナイダー内務相は積年の議論に決着がついたことを歓迎した。

もっと読む スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入
戦車

おすすめの記事

スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス国民議会(下院)安全保障委員会は、スイス製武器の再輸出の解禁案をまとめた。武器の輸出から5年経過を条件に、ウクライナなど紛争中の第三国への再輸出を認める内容だ。ただ主要政党の間では賛否が割れている。

もっと読む スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず
新聞を読む男性

おすすめの記事

スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑

このコンテンツが公開されたのは、 チューリヒ大学公共・社会研究センターが毎年まとめる「スイスメディア品質年鑑」2024年度版で、スイスでニュースを平均以下の量しか消費しない人の割合は46%と、過去最高を更新したことがわかった。スイスメディア全体の質は引き続き「良好」と評価された。

もっと読む スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑
スイスのアイスホッケー代表

おすすめの記事

アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず

このコンテンツが公開されたのは、 アイスホッケーのスイス代表チームは、ユニフォームにスイスの国旗である白十字の紋章を付けることができなくなった。スイスアイスホッケー連盟(SIHF)が連邦行政裁判所に提出した申請が遅すぎたのが原因だ。

もっと読む アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず
机に座るスーツ姿の男性

おすすめの記事

スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は16日、ウクライナに侵攻するロシアへの追加制裁を発表した。ロシアの産業・軍事・技術に必要な製品の輸出規制が強化されるほか、政党、NGO団体、報道機関がロシア政府からの寄付を受け取ることが禁止される。

もっと読む スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
パン屋の陳列棚

おすすめの記事

チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か

このコンテンツが公開されたのは、 高級ブランドが立ち並ぶチューリヒのバーンホフ通りにパン屋が開業し、大きな話題を呼んでいる。通りを象徴する百貨店の撤退や再開と合わせ、街の大きな転機になるとの指摘もある。

もっと読む チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部