国連による「世界幸福度ランキング」2018年版が14日発表され、スイスは3年連続で順位を落とし、5位だった。1位はフィンランド。日本は前年より順位を三つ下げて54位。
このコンテンツが公開されたのは、
国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク外部リンクが毎年、各調査対象国の約1千人に幸せを感じる度合いを10段階で評価してもらい、国別に過去3年の平均値を算出。一人当たり国民総生産の値や社会支援の充実度といったデータを用いて要因を分析している。今回の調査は15~17年が対象。
2位がノルウェー、3位がデンマーク、4位がアイスランドと欧州諸国が上位5位を独占。上位10カ国で、欧州外の国はカナダ(7位)、ニュージーランド(8位)、オーストラリア(10位)だった。他のトップ10と同様、スイスは平均寿命の高さや生活の自由度のほか、とりわけ一人当たり国内総生産(GDP)の値の高さが目立った。
150カ国を超えるランキングの最下位はアフリカのブルンジ共和国。他のアフリカ諸国も軒並み下位に並んだ。
スイスは15年にランキング1位になったが、翌年は2位に下落。昨年は4位だった。
波及効果
調査では今回初めて、対象国に住む移民の「幸福度」も考慮した。
ランキングの上位10カ国は国民、移民どちらの幸福度も高かった。調査を担当したジョン・ヘリウェル氏はロイター通信に「幸福度には波及効果があるようだ」と分析する。
ヘリウェル氏は「最大の収穫は、移民とその国で生まれた人たちとの間に明白な一貫性を見出せたこと。幸福度の高い国に移り住んだ人は勝ち組、そうでない国に移住した人は負け組になる」と語った。
ただ、スイスはこの傾向と異なり、移民と国民の幸福度に開きがあった。
米国は前年から四つランクを落とし18位。一人当たりの収入は過去50年間で著しく増加したが、社会支援ネットワークの脆弱化、政治・ビジネスにおける汚職の増加、公的機関への信頼低下などが響いた。
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
おすすめの記事
スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。
もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
おすすめの記事
2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。
もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
おすすめの記事
CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
このコンテンツが公開されたのは、
今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。
もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
おすすめの記事
「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。
もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
続きを読む
おすすめの記事
地球の裏側に輸出されたスイス流民主主義
このコンテンツが公開されたのは、
オーストラリアの連邦議会は数年間の議論の末、同性婚を合法化した。その前に行われた同性婚合法化の是非を問う国民投票では、賛成票が40年ぶりに過半数を超えた。これを機に他の改革にも弾みがつきそうだが、これまでの改革の試みは、よりにもよってオーストラリアがスイスから取り入れた民主主義制度によって阻止されてきた。
もっと読む 地球の裏側に輸出されたスイス流民主主義
おすすめの記事
世界の富裕度ランキング、スイスが1位
このコンテンツが公開されたのは、
スイス金融大手のクレディ・スイスは14日、世界各国の富裕度を調査分析した「グローバル・ウェルス・レポート2017」を発表した。スイスの成人1人あたりの純資産額は53万7600ドル(約6千700万円)で世界最高額だった。
もっと読む 世界の富裕度ランキング、スイスが1位
おすすめの記事
スイスの社会貢献度が高い企業・団体はどこ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス人が選ぶ国内で最も社会貢献度が高い企業・団体ランキングで、今年の栄えある1位にスイス航空救助隊「レガ(Rega)」が輝いた。
もっと読む スイスの社会貢献度が高い企業・団体はどこ?
おすすめの記事
スイスはもはや世界一豊かな国ではない?米国がトップに
このコンテンツが公開されたのは、
ドイツの保険大手アリアンツは27日、世界各国の富裕度を測る「グローバル・ウェルス・レポート2017」を発表した。前回1位だったスイスは2位に陥落。米国に首位を譲り渡した。日本は3位だった。昨年のスイスの個人一人当たりの純金融資産は17万5720ユーロ(約2300万円)で、前年に比べ2.7%増加したが、米国が前年比5.8%増の17万7210ユーロと上回った。3位の日本は金額が大幅に下がって9万6890ユーロ。スウェーデンが9万5050ユーロで4位、5位は台湾の9万2360ユーロだった。
もっと読む スイスはもはや世界一豊かな国ではない?米国がトップに
おすすめの記事
スイスの森林、急速な温暖化についていけず
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの森林は急速な温暖化に適応できない可能性があると、専門家たちは危機感を募らせている。そこで国の森林研究者たちは、スイスの平均気温が現在より4度上昇すると予測される2080年に備え、森林の状態を整えようとしている。
もっと読む スイスの森林、急速な温暖化についていけず
おすすめの記事
伸び悩むスイスの観光産業、打開策はあるのか?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのアルプス、湖、村、谷などの壮観は昔から世界中の観光客を惹きつけてきた。しかし今、スイスへの観光客が減っている。その原因は?
低迷する観光産業の原因は、スイスのイメージ低下ではない。今でも安定した、牧歌的で美しい国というイメージは変わらず、旅行で訪れたい国にもよく名前が挙がる。
さまざまな国の観光政策の顧問を務め、国の評判を測るシステムを開発したサイモン・アンホルト氏によると、スイスに対する世界の評価は以前と変わらず「すばらしい」という。スイスは各国のイメージに関する世界ランキングで過去10年間、8位の座を守り続けている。
もっと読む 伸び悩むスイスの観光産業、打開策はあるのか?
おすすめの記事
民主主義は幸せをもたらすか?
このコンテンツが公開されたのは、
「一般市民の政治参加の可能性が広がるほど、人は幸せになる」。少なくとも数種の調査ではこのような結果が出ている。それなら、すべての国が直接民主制を導入すべきなのか。比較政治学を専門とするイザベレ・シュターデルマン・シュテフェン教授に話を聞いた。
スイスインフォ: 直接民主主義は幸せをもたらすのですか?
イザベレ・シュターデルマン・シュテフェン: 直接民主主義には確かに良い面がたくさんある。しかし、それが果たして個人の幸福度まで決めるのかということになると、これは疑わしいと思う。この結論は、学術的に見て本当に揺るぎないものだとは言い難い。
私たちは、あなたが指していると思われる研究を基に分析を行ってみた。その結果、民主主義に対する満足度という視点を分析に加えると、直接民主主義の好影響が「人生の幸福度」の中に消えていってしまうことが分かった。この結果の方がより意味をなすように思える。
直接民主制を採っていることを人々が良いことだと思っているのであれば、それは民主主義の理解のしかたに影響を与えるだろう。だが、政治が多くの人々の生活であまり重要な位置を占めていないのであれば、個人の生活と直接民主義の間に結びつきがあるとはほとんど考えられない。
スイスインフォ: しかし、自分がより深く政治に関わることができれば、満足度も大きくなるのではないですか?
シュターデルマン・シュテフェン: 少なくともスイスでは、両者の間に多少の関係は存在する。だが、スイスの結果を一般化することはできない。
スイスで直接民主制を廃止すれば、これまであったものを無くしてしまうわけだから、人々はそれを不満に思うだろう。しかし逆に、ある国に直接民主制を導入したからといって、その国の人々が幸せになるとは限らない。
英国の欧州連合(EU)離脱を見ても分かるだろう。政府は成功すると思って国民投票を実施した。だが、全体の政治システムに浸透していない状態で一回きりの投票を行ってみても、結果は不明瞭に終わるだけだ。例えば、スコットランドだけが別の投票結果になったらどうするのか。そういったことを事前に考慮していなかった。これは私にはとても重要なことに思えるのだが。このようなことからも、直接民主主義に普遍的な「幸福効果」があるとは考えにくい。
スイスインフォ: 直接民主主義の短所は何ですか? シュターデルマン・シュテフェン: 一つは、ポピュリズムに対する開放性だ。国民投票前の運動で、議論が案件からはみ出すことは珍しくない。全く関係のないことや別の案件を引っぱってきたりする。これは明らかな短所だ。
スイスインフォ: 案件に関する自分の意見を出せなくなり、人を選ぶだけになったとしたら、正直なところ、一市民として私は不満に思うでしょう。どうすれば、この人は私の意見を本当に代弁してくれる政治家だという信頼を寄せられるようになるのでしょうか?
シュターデルマン・シュテフェン: そもそも信頼を寄せなければならないのか。あなたは政治家を何らかの方法でチェックできる立場にいる。これが民主主義の要(かなめ)だ。
スイスの政治システムは実際、「全面的な懐疑」の上に作られている。つまり、「ベルンにいる彼ら(政府と議会)」が何かやっていて、私たち(有権者)はイニシアチブやレファレンダムを通じてそこから正しい結果が出るように監視しているのだ。だが、純粋な代表制民主主義にも監視の方法はあるし、もしかしたらそちらの方がもっと厳しいのかもしれない。
透明性と責任に関しては、代表民主主義の方がよりはっきりしている。ドイツのように代表制民主主義で政府を選出し、その政府があまり良くないと思う政治を行ったときには、あなたは次回から票を入れないという手立てを取ってその政府を直接罰することができる。(異なる政党から選出された7人の閣僚を持つ)スイスでは、場合によっては責任の所在を定めることがかなり難しい。そうすると、罰を与えたり、不信を表明したりということも難しくなる。
政治に参加することで、満足感を覚えることはありますか?皆さんのご意見をお寄せください。
もっと読む 民主主義は幸せをもたらすか?
おすすめの記事
税制改正 企業に甘過ぎる?
このコンテンツが公開されたのは、
中道右派が過半数を占める連邦議会は昨年6月、スイスの税制を国際的な税務基準へ適合することを目的に、第3次法人税改正を決議した。だが、社会民主党は、「この改正を利用して、中道派は企業に税金をプレゼントするつもりだ」と批判し、レファレンダムを発議。2017年2月12日に国民投票が行われることになった。
スイスの法人税制は、これまでにも97年と07年に大きく改正されている。当時は、経済拠点としてのスイスの魅力度向上に向け、租税関連の法的環境を整えることが目的だった。これに対し、2月12日に投票が予定されている第3次法人税改正では外圧が発端となった。欧州連合(EU)などが、スイスの税制は「魅力的になり過ぎた」と詰め寄ったのだ。
もっと読む 税制改正 企業に甘過ぎる?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。