犬のトレーニングコース参加義務を廃止
スイスの連邦議会は19日、犬とその飼い主のトレーニングコースへの参加義務を廃止すると決定した。
犬とその飼い主に、トレーニングコースへの参加が義務付けられたのは2008年。初めて犬を飼う飼い主は、4時間にわたる実技クラスへの参加と、1時間の講習会への出席が義務付けられていた。
連邦政府は2016年3月、50万匹以上の犬を飼っている(スイスのような)国では犬のトレーニングコースはそれほどインパクトを持たないとの報告書を発表。コースの義務化後も犬が噛み付くなどの事件発生数は減少しなかったこと、トレーニングコースに参加した飼い主と、しなかった飼い主の行動にさほど違いが無かったこと、さらに飼い主のおよそ20%は、トレーニングコースに全く参加していなかったことなどが明らかになった。
この義務の廃止が今後、危険な犬種の飼い主にどのような影響を与えるのかは不明だ。現在、アメリカン・ピット・ブルのような犬種の飼い主は、2年以上にわたり、飼い犬と一緒に72時間のトレーニングコースを受けなければならない。どの犬種を危険犬種とするかは、州によって違いがある。
トレーニングコースが義務化したきっかけ
動物愛護に関する法律は2008年に改正されている。家畜やペットをどのように飼うべきかなどのテーマとともに、犬のトレーニングコースへの参加義務付けもそこへ組み込まれた。
2005年には、チューリヒ州で男児が3匹のピット・ブルに襲われ重傷を負った傷害事件があった。このことから、犬の飼い主はトレーニングコースへの参加が義務付けられるようになった。ピット・ブルを禁止する動きもみられたが、時間が経つにつれ、ピット・ブルなどの危険犬種への憎悪感が減少。トレーニングコースの義務付けへと向かった。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。